
定例記者会見に臨む経済同友会の新浪剛史代表幹事=3日午後、東京都千代田区
経済同友会の新浪剛史代表幹事は3日の定例記者会見で、購入したとされるサプリメントが違法の疑いがあるとして警察の捜査を受けたことについて「法を犯しておらず潔白だ」と主張した。「しかし結果的にこうなったことは私の不注意であり、社会をお騒がせしたことをおわびする」と謝罪。同友会の活動は当面自粛するが、代表幹事は辞任しないと表明した。同友会は倫理審査会を設け、新浪氏の続投が適切かどうかを月内にも判断する。
新浪氏によると、CBD(大麻草由来のカンナビジオール)が含まれたサプリを4月に米国で入手。適法な商品と認識し、海外出張での時差ぼけ対策で購入した。日本の類似商品と比べ「圧倒的に安い」ことも理由に挙げた。日本に届けるよう知人に依頼したが、結果的に受け取らなかった。
この知人が8月に福岡県在住の弟を経由して新浪氏にサプリを送るよう手配し、福岡県警が弟を逮捕した。捜査対象はこのサプリとみられ、新浪氏は「所持も使用もしておらず、輸入も指示していない。(自分が4月に購入したものと)同一であるかも分からない」と強調した。
新浪氏は1日付でサントリーホールディングスの会長を辞任した。「サントリーに迷惑をかけてはいけないと思い、辞することにした」と語った。辞任自体は納得しているという。
政府の経済財政諮問会議の民間議員を続けるかどうかは「決めるのは政府で判断を委ねたい」と話した。林芳正官房長官は3日の記者会見で「現時点でご本人からの申し出があったとは承知をしていない」と述べた。
同友会の代表幹事職は、日本たばこ産業(JT)会長の岩井睦雄副代表幹事が代行する。会見に同席した岩井氏は新浪氏の処遇について「捜査の進捗、情報を総合的に勘案して適切に対応する」と説明した。
新浪 剛史氏(にいなみ・たけし)米ハーバード大経営大学院修了。1981年三菱商事。2002年ローソン社長、14年5月会長。14年10月サントリーホールディングス社長、25年3月会長。23年4月から経済同友会代表幹事。66歳。横浜市出身。
【経済団体】業界全体の発展や利益を追求して活動する非営利の民間組織。大企業を会員とする経団連、企業経営者が個人で参加する経済同友会、中小企業で構成する各地の商工会議所をとりまとめる日本商工会議所が「経済3団体」に位置づけられている。経済財政や労働問題、地域振興など幅広いテーマで政府や国会に対し政策提言を手がけている。