
気象庁と国交省が開いた、鹿児島県への大雨特別警報発表に関する記者会見=8日午前、気象庁
◆―― 土砂災害、最大級警戒を
前線に向かって流れ込む暖かく湿った空気の影響で九州は8日、大雨となった。気象庁は未明、鹿児島県の薩摩、大隅地方で線状降水帯が発生したと発表。記録的な雨量となった霧島市に大雨特別警報を出し、土砂災害への最大級の警戒を求めた。前線が停滞するため、九州は10日にかけて激しい雨が続く恐れがあり、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫にも厳重な警戒が必要だ。
大雨特別警報が発表されたのは今年初めて。気象庁は記者会見で、対象地域ではこれまでに経験したことのない大雨となり、既に災害が発生している可能性が極めて高いとして「直ちに身の安全の確保を」と呼びかけた。他の市町村にも発表する可能性があるとした。
霧島市は市内全域に、鹿児島市は一部地域に「緊急安全確保」を発令した。鹿児島県は、霧島市に災害救助法を適用したと発表。8日午前7時時点で鹿児島県内での人的被害の情報は入っていない。
JR九州は鹿児島線や日豊線など在来線の一部区間で8日の始発から運転を見合わせた。
石破茂首相は「情報発信と状況把握、災害応急対策、安全で円滑な避難の支援に取り組んでいる。対応に万全を期す」と官邸で記者団に述べた。
気象庁によると、霧島市の溝辺では午前3時までの1時間で107・5ミリの猛烈な雨が降り、同地点の観測史上最大に。12時間降水量は480ミリを超え、平年8月の1カ月分の約1・8倍になった。
低気圧が千島近海を北東へ進み、九州北部を通る前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだ。上空の寒気や日中の気温上昇の影響もあり、北―西日本は10日にかけて、大気の状態が非常に不安定となる所がある。
9日午前6時までに予想される24時間降水量は多い所で、九州南部200ミリ、九州北部120ミリ、北海道、東北、関東甲信、北陸80ミリ。その後の24時間は九州北部、九州南部150ミリ。
【大雨特別警報】台風や集中豪雨により、数十年に1度クラスの経験したことがないような大雨が予想される場合、気象庁が発表する。発表された時点で、対象地域では土砂崩れや浸水といった災害が既に起きている可能性が高い。警戒レベルは最高の5に相当。直ちに身の安全を確保する必要がある。