
室蘭市幕西町の住宅街で駆除されたスズメバチの巣
室蘭市や害虫駆除業者に6月以降、スズメバチの駆除依頼や相談が相次いでいる。今年は各地で大量発生し、気温の高い日が長く続いた気象などが背景にあるとみられる。室蘭でも営巣活動が活発化し、刺される被害が起きており、市の担当者は「今時季は特に攻撃性が強いので、個人での駆除は危険」と呼びかけている。
市の委託業者である協業組合室蘭清掃管理センターには、6月下旬から巣の駆除依頼が殺到。1日に約10件の駆除作業に追われ、4日までの累計が100件を超えた。
同センターの伊藤隆管理課長は「1日当たりの件数は昨年の2倍で連日余裕がない」と話す。市への相談件数も増加傾向にあり、担当者によると、1日10件ほどの相談電話があるという。
スズメバチは今年、道内各地で大量発生。道立衛生研究所の伊東拓也研究員は「今年は20~30度の気温が長く続いていることや、昨年生まれて越冬した女王バチが多いことなどが背景にある」とみている。
市内では被害も出ている。7月25日、幕西町の80代男性は自宅付近を散歩中、マンホール内に巣を作ったスズメバチに突然襲われ、右足を刺された。
男性は身の危険を感じ、すぐに駆除を依頼。駆け付けた白い防護服姿の作業員が巣を確認し、マンホールのふたの穴から殺虫剤を注入、直径約20センチの巣を取り出した。作業は15分ほどで終了し、男性は安心しつつも「2022年にも一度依頼し撤去してもらったが、また巣ができてしまい恐ろしい」と不安げな表情を見せた。
伊藤管理課長は「室蘭ではキイロスズメバチが多く見られる。人家の近くに巣を作るため、日常生活の中で遭遇する可能性が高い」と指摘し、「他の種と比べて警戒心が強く攻撃的なので、非常に危険。見つけた場合は早めの駆除依頼を」と話す。
巣が個人の建物や土地で発見された場合は、所有者や管理者が駆除を依頼する必要がある。問い合わせは市地域生活課、電話0143・25・2381へ。