
むかわ町で消防署の屋上に避難した人たち=30日午前11時16分(共同通信社ヘリから)
津波警報が出た太平洋沿岸で30日午前、高台に避難する車で渋滞が発生した。海水浴場は次々に閉じられ、夏休みシーズンの観光地は混乱。大きな揺れがない中で防災行政無線が鳴り響き、住民らは「訓練かと思った」と驚いた様子で話した。
むかわ町の消防署の屋上には約300人が避難した。高齢者は他の避難者に支えられながら階段を上った。職員は「混乱し、不安そうな様子だった」と話した。
釧路市では高台へ向かう車で渋滞が起きた。市内の大学に通う男性(18)は注意報を聞いて1人暮らしの自宅を急いで出た。「大学で避難方法を学び、とにかく逃げるようにと教えられたので」と話した。家族旅行中の札幌市の男性(58)はゲストハウスの従業員に促され高台へ避難した。「声をかけられなければ、こんなに急いで避難できなかった」
根室市の根室港に近いホテルでは従業員5人が屋上に避難した。従業員は電話取材に「潮が引いて干潟が見える」と話した。
東日本大震災の被災地にも緊張が走った。
宮城県石巻市の日和山には多くの住民が避難し、心配そうに海の様子を見つめていた。気仙沼市や南三陸町では防災行政無線を通じて警報が市民に周知され、海水浴場は全て閉鎖に。同町で民宿を営む菅原さやかさん(44)は「揺れていないのにサイレンが鳴ったので訓練かと思った。海岸にいる人が一斉にいなくなった」と振り返った。
福島県相馬市で鮮魚店を営む小野千恵子さん(69)は臨時休業を決めた。東日本大震災の津波で店が流され、同じ場所に再建した。「命を守ることを優先しないと」と、避難を急いだ。
岩手県陸前高田市でも避難を呼びかける無線が絶え間なく流れた。自営業・大友重隆さん(43)は「貝類の養殖施設への影響も心配だ」と話した。
茨城県大洗町では、避難所となった町内の小学校に住民らが次々に到着した。教員の女性(49)は「不安だと思うので声をかけたい」と話した。
神奈川県茅ケ崎市も海水浴場を閉じ、ライフセーバーらが内陸に避難した。和歌山県白浜町の海水浴場も閉鎖された。