
ロシア・カムチャツカ半島付近を震源とする地震による津波警報について開かれた気象庁の記者会見=30日午後、気象庁
30日午前8時25分ごろ、ロシア・カムチャツカ半島付近を震源とする地震があった。地震の規模はマグニチュード(M)8・7(推定)で、気象庁は太平洋側を中心に津波警報と津波注意報を出した。午後に岩手・久慈港で1・3メートルの津波を観測し、北海道から沖縄にかけ22都道府県に到達した。
気象庁は当初、北海道から太平洋に沿って和歌山県までに津波警報を発表。午後8時45分までに注意報へ切り替えた。岡山県の注意報も解除した。残る地域の解除は31日に判断する見通し。総務省消防庁によると、全国の自治体が出した「避難指示」の対象者は一時約200万人となった。
三重県熊野市では軽乗用車が道路脇の崖下に転落し、運転していた同市の女性(58)が死亡した。女性は家族に津波警報を受け「高台の避難所に車を置きに行く」という趣旨の連絡をしていたという。北海道や宮崎県で転倒によるけが人が出た。
海水浴場の閉鎖が相次ぎ、住民や観光客は高台へ避難。コンビニが広範囲で一時営業を取りやめ、JR東日本は沿岸部の在来線の一部を終日運休とするなど鉄道や空の便、高速道路にも影響が出た。政府は首相官邸危機管理センターに官邸連絡室を設置し、石破茂首相は「対応に万全を期す」と述べた。
気象庁によると、観測された津波は宮城・仙台港で90センチ、北海道・根室市花咲や青森・八戸港、東京・八丈島八重根で80センチ、宮城・石巻港で70センチなど。直接震源から来た津波と、東にある海底の山の列「天皇海山列」にぶつかってから日本に向かった津波が合流し、高さが増したとみられる。
当初、地震の規模をM8・0と推定し午前8時37分に津波注意報を出した。その後、M8・7に修正し、同9時40分に警報へ切り替えた。この地震で、釧路市などで震度2を観測した。
津波警報の発表は2024年4月、台湾付近で発生した地震以来。海外の遠地で起きた地震による警報は10年2月のチリ地震以来、15年ぶり。内閣府によると、1952年に発生したカムチャツカ半島沖地震では、北海道から本州の太平洋側に最大3メートルの津波が到達した。