
ジャイアントパンダ4頭の一般公開最終日、ササを食べる良浜=27日午前、和歌山県白浜町のアドベンチャーワールド
◆―― 「ありがとう」感謝と惜別
和歌山県白浜町のレジャー施設「アドベンチャーワールド」で27日、中国への返還が決まったジャイアントパンダ全4頭の一般公開が最終日を迎えた。午前9時の開園と同時に、多くの人が足早にパンダを見に向かった。
4頭は24歳で母パンダの良浜とその子の結浜(8歳)、彩浜(6歳)、楓浜(4歳)。28日にアドベンチャーワールドを出発し、中国・四川省の繁殖研究施設へ向かう。
埼玉県朝霞市から来た会社員河邊智子さん(53)は「13、14年前からパンダに会いに来てます。4頭みんなが中国で幸せに暮らしてほしい」とさみしそうな様子。愛知県西尾市の主婦柘植真理子さん(57)は午前5時半開場の駐車場に入るため午前3時15分に施設前に到着したという。「今まで笑顔をくれてありがとう。長生きしてください」と話した。
園内には寄せ書きスペースが設置され「元気といやしをありがとう」など4頭との思い出や感謝の言葉が並んだ。
良浜は落ち着きがない様子で屋内運動場を歩き回った後、遊具の上で一眠り。同じ場所にいた彩浜は竹を見つけるとおいしそうに食べ始めた。結浜は気持ちよさそうに寝そべり、楓浜ものんびりと竹を食べていた。
返還に当たり、健康状態の確認で隔離検疫が必要となるため、屋外での展示は5月末に終了。その後約1カ月間は、施設内の2カ所でガラス越しでの対面となっていた。
アドベンチャーワールドは1994年、中国側とジャイアントパンダの共同繁殖研究を開始。これまで17頭の育成に成功し、中国国外では最多だという。
【ジャイアントパンダ】 中国南西部の四川、陝西、甘粛省の山岳地帯に生息し、主に竹を食べる。東京・上野動物園などによると、体長120~180センチ、体重70~125キロ程度とされる。中国政府や民間による保護活動が行われている。ワシントン条約では商業目的の国際取引が原則禁止されている。国際自然保護連合(IUCN)によると、1990年に絶滅危惧種に指定され、2016年には3段階ある分類のうち「危急種」となった。