
閣議後の記者会見で、備蓄米の放出について述べる小泉農相=23日午前、農水省
小泉進次郎農相は23日の閣議後記者会見で、政府備蓄米について「(5キロ当たり)2千円台で店頭に並ぶ形で出していく」と述べた。備蓄米放出の手続きを随意契約に変更し、スーパーなど小売業者に直接売り渡す。来週の早い時期に随意契約の手続きを始め、早ければ6月初旬にも店頭販売される見通しだ。石破茂首相はコメ全体の価格を早期に3千円台にすると表明した。割安な備蓄米の流通を広げ、全体の価格引き下げを狙う。
総務省が23日発表した4月の全国消費者物価指数はコメ類が前年同月比で98・4%伸び、7カ月連続で過去最大の上昇幅を更新した。小泉氏は現在の価格は「日本の国産米離れを加速させかねない」と懸念し、生産者にとってもプラスにならないと指摘した。
小泉氏は23日の民放番組で、随意契約により、事業者が2千円台で販売できる価格で備蓄米を売り渡すと説明。事業者が利益を多く取れば「(店頭の)値段で一目瞭然だ」と指摘した。これまでは競争入札で売り渡し先を決めており、国が価格を誘導することはできなかった。
全国各地に備蓄米の販売が広がるまでに時間がかかる可能性もあるが、小泉氏は会見で「早く届けられるところに届けていく」と述べた。
全国のスーパーで直近の5~11日に販売されたコメの平均価格は前週に比べ54円高い4268円だった。昨年前半までは2千円台で推移していた。昨夏にコメ不足が深刻化し、9月に3千円を超えた。
また、農林水産省は23日、2025年産の主食用米の生産量は昨年比40万トン増の719万トンになる見込みだと発表した。調査を始めた04年産以降で最大の増加幅となる。