
皇居での認証式を終え、石破首相(左)、林官房長官(右)と記念写真に納まる小泉農相=21日午後、首相官邸
◆―― コメ失言対応で判断遅れ、首相「国民に深くおわび」
石破茂首相は21日、「コメは買ったことがない」と失言した江藤拓農相(64)=衆院宮崎2区=を更迭した。国民の批判が強まる中、野党が更迭要求で一致。少数与党政権下で野党が国会で協力を拒めば法案審議が停滞すると判断し、続投方針を一転させた。首相は「国民に深くおわび申し上げる」と陳謝。後任には自民党の小泉進次郎前選対委員長(44)=衆院神奈川11区=を起用した。政権への打撃は不可避で、野党は更迭判断の遅れを批判し、任命責任を追及した。
昨年10月の石破内閣発足後、不祥事による閣僚更迭は初めて。与党内では、6月の東京都議選や夏の参院選への影響を懸念する声が広がった。
コメの価格高騰や品不足が続いている現状に国民の不安が拡大している。首相は21日午後、官邸で小泉氏に農相起用を伝えた上で、価格抑制や備蓄米の円滑な流通に取り組むよう指示した。小泉氏の発信力に期待し、政権の支持回復につなげたい考えだ。小泉氏は党農林部会長時代、農協改革に携わった。
首相は参院本会議の質疑で、任命責任を問われ「全て私にある」と強調し「一層の緊張感を持って、諸課題の解決に当たる」と語った。
江藤氏は21日朝、首相に辞表を提出した。記者団に「国民がコメの高騰に大変苦労している中、不適切な発言で国民の信頼を損なった。身を引くことが良いと判断した」と陳謝した。
立憲民主など野党5党は20日の国対委員長会談で、江藤氏交代を求め、農相不信任決議案の提出検討を確認。当初、続投させようとした首相の対応を問題視した。立民の野田佳彦代表は21日、記者団に「説明責任が求められる」と強調し、国民民主党の玉木雄一郎代表は「判断が常に遅い」と指摘した。
自民の石井準一参院国対委員長は閣僚の失言が選挙に大きく影響するとして「危機感を持って対応しなければならない」と訴えた。公明党の斉藤鉄夫代表は「大きな痛手になる。選挙への影響も否定できない」と言及した。
江藤氏は18日の講演で「コメは買ったことがない。支援者の方々がたくさん下さるので、家の食品庫に売るほどある」と発言した。