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2026/03/16 12:00電子版企画

はるみんオススメ書籍(28)『食べてはダメとは言いません・暮林医院栄養室』

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 前の職場を離れたことをきっかけに、「昭和の遺物」の父が経営する実家の暮林医院で働き始めた管理栄養士の暮林怜奈。生活習慣病の患者に栄養指導をするのが彼女の主な仕事だ。肝心の父は栄養指導に懐疑的だったが、怜奈の奮闘で徐々に栄養室を訪れる人が増え始める。「無理をする必要はありません。できる範囲から始めてみませんか?」。高血圧、低栄養、痛風予備軍、貧血や糖尿病、母親の胃ろう造設に悩む姉弟、そして怜奈の父の狭心症。人にはそれぞれ異なる事情がある。だから体調不調の内容も人により様々だ。悩みを抱える患者のために、栄養のプロが「考察・推理」し奔走する新しい食&医療小説。
 
 私は食べることが大好き。好き過ぎるあまり、東日本大震災の2年後に「食育インストラクター」試験を受けに東京へ行った時の出来事。試験後に講義があった。とてもためになる講話だった。その中で「何かお話ししたい方はいますか」という呼びかけに、手を挙げた女性がいた。

 「私、福島で農業をしています。農産物はちゃんと放射線の検査をしています。厳しい検査です。それでも、避けられるんです!買ってくれないんです!」涙ながらの悲痛な訴えがあった。静まり返った室内。どう声をかけたら良かったのか。慰めの言葉は、励ましにはならない。多分私も含めてだが、放射線について詳しく知っている者はいなかっただろう。

 その後、私は医療関係の事務補助の職に就いた。そこで放射線について、初めて真剣に取り組んだ。わが子に教えてもらいながら。痛感した。私はいかに無知で傲慢だったのか。放射線の影響に天然も人工もない。自然はある程度のリスクと、それをはるかに上回る恩恵の両方を私たちに与える。自然災害はその最たるリスクであるが、また放射線は私たちの生活に欠かせないもの(発電以外)でもある。

 ある日、職場の取引先の薬剤メーカーの方が「福島の農産物は放射線の測定をしているから、この数値ならむしろ問題ないです。大丈夫、大丈夫。それを理解している科学者や研究者は、神奈川や東京から買い出しに行ってます。安いからね」と話してくれた。

 東京の一件での答えがそこにあった。あの時今の知識があったなら、応援できる言葉をかけられた。もう少し早く知っていれば…と思い出すたび悔やまれる。

 正しく知って、正しく使い、正しく怖れる。安心と安全とは何か。デマや風評に惑わされず立ち向かうため、私たち自身の頭で考えよう。

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『食べてはダメとは言いません・暮林医院栄養室』仙川環 KADOKAWA/角川文庫

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