首相官邸に入る高市首相=17日午前
◆―― 中国対応で「交流萎縮」
外務省の金井正彰アジア大洋州局長は17日、高市早苗首相の台湾有事に関する国会答弁を巡り中国側と協議するため、北京に向けて出発した。協議は18日の予定。政府関係者が明らかにした。日本側は、首相答弁が日本政府の立場を変えるものではないと改めて説明し、事態の沈静化を図りたい考え。ただ中国側は訪日を控えるよう国民に注意喚起するなど反発を強めており、収束に向かうかどうかは見通せない。
木原稔官房長官は17日の記者会見で、中国側の対応に関し「人的交流を萎縮させるかのような発表は、首脳間で確認した戦略的互恵関係の推進、建設的かつ安定的な関係の構築などの大きな方向性と相いれない」と指摘し、中国側に申し入れたと説明した。
首相は7日の衆院予算委員会で、中国が台湾に侵攻する台湾有事に関し、状況次第で安全保障関連法に基づき集団的自衛権の行使が可能となる存立危機事態に該当するとの認識を示した。
これに対し、中国政府は金杉憲治駐中国大使を呼び出し答弁撤回を要求。訪日自粛の他、日本への留学も慎重に検討するよう勧告するなど対抗措置を相次ぎ打ち出した。
日本側も、中国の薛剣(せつ・けん)駐大阪総領事が首相答弁を受けX(旧ツイッター)に投稿した「汚い首は斬ってやる」との文章を問題視。船越健裕外務事務次官が呉江浩(ご・こうこう)駐日大使を呼び出し抗議するなど応酬が続いている。
金井氏は協議の場で、首相答弁は中華人民共和国を中国の唯一の合法政府と承認した1972年の日中共同声明で示した日本の立場を変えるものではないと説明し、日中関係への影響を避けるよう訴える見通しだ。ただ答弁の撤回には応じないとみられる。

































































