
15日、国会内で会談に臨む自民党の高市総裁(右)と日本維新の会の吉村代表
◆―― 吉村氏が意向、正式伝達 高市氏、21日新首相選出へ
日本維新の会の吉村洋文代表は20日午前、自民党の高市早苗総裁に電話し、連立政権樹立に合意する意向を正式に伝えた。同日夕に東京都内で会談し、連立政権合意書に署名する。維新は政策で連携していくものの入閣はせず、当面閣外協力とする。21日の首相指名選挙では高市氏に投票する方向だ。高市氏は女性初の首相に選出される見通し。これに先立つ19日に維新は常任役員会を開き、自民との連立政権樹立に関する判断を吉村氏と藤田文武共同代表に一任すると決めた。
吉村氏は、高市氏に電話で「ともに日本を前に進めましょう」と呼びかけた。大阪市内で記者団に明らかにした。
維新は高市氏との党首会談の前に国会内で緊急役員会と両院議員総会を開き、党内意見を踏まえて方針を正式決定する。藤田氏は19日の常任役員会後、記者団に「信頼関係は相当深まった上で明日を迎えられる」と強調した。
役員会は大阪市の党本部で開かれ、吉村、藤田両氏らが出席。政策協議の状況を報告した。藤田氏によると、慎重意見や反対は出なかった。一任の対象は、合意と入閣の是非だと説明した。
馬場伸幸前代表は記者団に「意見を言ったメンバーは全員『閣外がいい』という趣旨だった」と明らかにした。維新は閣外協力となるものの、首相補佐官として遠藤敬国対委員長を起用する案が浮上している。
両党の政策協議では、維新が求めた12項目中、憲法改正や外交・安全保障、エネルギーなどの基本政策で一致。吉村氏が連立の「絶対条件」に位置付けた国会議員定数削減も自民は受け入れ、21日召集の臨時国会に関連法案を提出する方針だ。
藤田氏は信頼関係について「先方も思ってくださっていると思う」と言及。「良い形で迎えられるよう、最終最後の詰めをしたい」と語った。
【閣外協力】 政党が内閣に閣僚を出さずに、政権運営に協力する形式。自民、公明両党は正式に合意文書を交わし、閣僚を両党から出す連立政権を組んでいた。内閣に閣僚を送り込まない政党間連携としては、個別の法案や政策が一致した場合に国会審議や政策協議で協調する「部分連合」と呼ばれる形態もある。過去には、自民党と連立政権を組んでいた社民党と新党さきがけが1996年、党としての独自色を発揮する観点などを理由に閣外協力に転じた例がある。