
4回ソフトバンク2死三塁、野村を空振り三振に抑え、雄たけびを上げる日本ハム・伊藤。8回無失点で勝利投手となった=みずほペイペイドーム
◇みずほペイペイドーム 第3戦 ソフトバンク 2勝1敗
日本ハム 100 100 400|6
ソフトバンク 000 000 000|0
▷勝 伊藤1試合1勝
▷敗 上沢1試合1敗
▷本 レイエス2号①(上沢)、山県1号①(上沢)
▷観客 40142人
▷試合時間 3時間14分
【評】日本ハムの伊藤が制球良く攻め、8回を5安打無失点で毎回の11奪三振。打線は一回に郡司の犠飛で先制し、四回にレイエスがソロ。七回は山県のソロと郡司の3点二塁打で突き放した。ソフトバンクは上沢が6失点と踏ん張れなかった。
◆―― 土壇場で意地、11奪三振
負ければ終わりの土壇場で、2年連続最多勝のエースが意地を見せた。日本ハムの伊藤は何度も走者を背負いながらも要所を締め、8回を5安打無失点。毎回の11奪三振の力投を見せ「きょう勝たないと意味がなかった。ほっとしている」と満面の笑みを浮かべた。昨年の同じ舞台で苦杯をなめたリーグ王者から、初勝利をもぎ取った。
7回を無失点だったCSファーストステージ第1戦から中5日での登板。疲れは一切、感じさせない投球だった。多彩な変化球でカウントを整え、勝負どころで150キロ超の速球で押し込む。唯一の長打を許した四回も、2死三塁から野村を速球で空振り三振に仕留めて雄たけびを上げた。その後もテンポよく腕を振り、主導権を渡さなかった。
投げ合ったのは、かつてのチームメートの上沢だった。「一から十まで、全てを教わった」と慕う“兄貴分”との投げ合いで成長の証しを示した。
依然として、チームはこれから3連勝しないと日本シリーズに進出できない厳しい状況。それでも「非常に大きい1勝」と力を込める。快投は救援陣の温存にもつながり、逆転CS突破への光をともした。
◆―― 郡司が4打点
日本ハムの4番・郡司が一回に犠飛で先制点をもたらし、七回には3点二塁打を放った。第2戦まで8打数無安打で再三の好機をつぶしていただけに「ちょっとほっとした」と安堵の笑みを浮かべた。
前夜に新庄監督からインスタグラムで「今年は郡司がいなかったら(駄目だった)」と先発起用を伝えられたという。「その覚悟を受け止め、意気に感じて試合に臨んだ」と胸を張った。
◆―― レイエスが4回にソロ
日本ハムのレイエスが1―0の四回にソロ本塁打を放った。上沢が投じた初球の速球を豪快に引っ張り、左越えに運んだ。第1戦に続くシリーズ2本目のアーチに「高いモチベーションで打席に入り、打つことができた」とコメントした。
初戦は右中間席に特大の一発を放り込んだ。「パワーには自信がある」と常々口にする今季のリーグ本塁打王が、広角に長打を打ち分ける。ファーストステージから全5戦で安打をマーク。短期決戦で、存在感が際立つ。
◆―― 監督、選手談話
新庄監督 「選手に聞いてあげて」
山県(新人。七回にソロ本塁打) 「昨夜、ボス(新庄監督)から、明日も心から楽しんで、力むなよって言われた。言葉通りに力まずに打てた」