
トヨタ自動車の実証都市「ウーブン・シティ」の第1期区域=静岡県裾野市
◆―― 他社提携、異例取り組み
トヨタ自動車が静岡県裾野市で建設してきた次世代技術の実証都市「ウーブン・シティ」が25日始動した。自動運転や自律走行ロボット、電動小型三輪モビリティー(乗り物)など新たな技術の開発の場とする。食品や教育といった自動車以外の異業種との提携事業も明らかにした。自動車メーカーが先進的な街づくりに乗り出す異例の取り組みとなる。
約4万7千平方メートルの第1期区域でスタートし、トヨタ関係者がまず数世帯入居。同区域には最終的に300人程度が住む。今後、東京ドーム6個分に相当する計約29万4千平方メートルに拡大し、トヨタ関係者を中心に2千人以上が暮らす見通し。一般の受け入れは2026年度以降を見込む。
25日の式典には豊田章男会長や、長男で子会社ウーブン・バイ・トヨタ(東京)の豊田大輔シニア・バイス・プレジデントが出席した。大輔氏は社会インフラとの連携を通じ「安心安全なモビリティー社会の実現に貢献したい」と述べた。
ウーブン・シティには日清食品や、通信教育のZ会を手がける増進会ホールディングス(HD、静岡県三島市)、ダイキン工業など異業種7社に加え、トヨタとトヨタグループ11社の計19社が参加する。個人でミュージシャンのナオト・インティライミさんも加わる。
ウーブン・シティ内で共有する車を自動で搬送する自律走行ロボットも公開された。トヨタ自動車が開発を手がけた。自動運転の物流ロボが荷物を運ぶ地下空間も設けている。
日清食品はトヨタの新型電気自動車(EV)「イーパレット」を活用し飲食品の販売店を開く。利用者の健康状態を調査し、最適な栄養を摂取できる食品の開発を目指す。
増進会HDは保育施設で子どもの様子をカメラで撮影し、行動を分析する。ダイキンは花粉症の入居者を対象に、花粉の侵入を防ぐ換気システムを使ってもらう。