
抗日戦争勝利80年記念行事に出席した中国の習近平国家主席(中央)とロシアのプーチン大統領(左)、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記=3日、北京(タス=共同)
◆―― 米政権をけん制 「戦勝80周年」アピール
【北京共同】中国は3日、北京市中心部の天安門広場周辺で「抗日戦争と世界反ファシズム戦争勝利80周年」の記念行事を実施した。習近平国家主席が演説し第2次大戦の「戦勝国」としての立場をアピール。軍事パレードを挙行し新型兵器を公開した。ロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記が出席して習氏の両隣に並び、中ロ朝3カ国の結束を誇示した。
習指導部にはロ朝への影響力を内外に示し、トランプ米政権をけん制する狙いがある。中国メディアなどによると、3カ国首脳が北京で軍事パレードを観覧するのは1959年10月の中国建国10年の記念式典以来で66年ぶり。ロシアのウクライナ侵攻が続く中、欧米は3カ国の連携に警戒を強めそうだ。トランプ米大統領は「米国に対して悪巧みをしている」と自身の交流サイト(SNS)に投稿した。
習氏は演説で「世界一流の軍隊の建設を加速させ、国家主権と統一、領土の一体性を断固守らなければならない」と述べた。抗日戦争で中国が大きな犠牲を払い世界平和に重大な貢献をしたと主張し、戦勝国としての立場を強調した。
「強国建設と民族復興」に向けた団結も呼びかけた。「歴史の正しい側に立ち、平和発展の道を堅持する」とも述べた。
軍事パレードでは米本土を射程に収める潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「巨浪3」を公開した。戦闘機や無人機、極超音速兵器など多数の新型兵器を公開し、軍事力をアピール。装備は全て国産としている。
ベトナムやイラン、中央アジア諸国など20カ国余りの元首・首脳級が出席。欧米主要国の首脳や石破茂首相は含まれていない。ほかに政府要職経験者として鳩山由紀夫元首相が招待された。北京は厳戒態勢が敷かれた。
59年の軍事パレードには中国建国の父、毛沢東とソ連のフルシチョフ、北朝鮮の金日成が出席した。
【中国の抗日戦争勝利記念行事】中国が抗日戦争勝利記念日とする9月3日に合わせ、北京の天安門広場を中心に実施する一連の行事。今年は80周年に当たる。習近平国家主席が「重要講話」を発表。軍事パレードを実施し、新型兵器を披露して軍事力を誇示する。習指導部は2015年9月の70周年の際、抗日戦争勝利がテーマの軍事パレードを初めて挙行し、ロシアのプーチン大統領のほか、当時の韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領らが参加した。
◆―― 習氏、ロ朝脇に親密演出 笑み浮かべ、並んで観覧
【北京共同】中国が抗日戦勝80年の記念行事を実施した3日、中山服(人民服)を着用した習近平国家主席は妻彭麗媛氏と共に笑顔でロシアのプーチン大統領や北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記ら各国首脳を出迎えた。習氏はプーチン氏と金氏を脇に従えて北京の天安門楼上に案内。3首脳は並んで軍事パレードを観覧し、親密さをアピールした。
楼上には温家宝元首相ら引退幹部も顔を見せたが、胡錦濤前国家主席の姿はなかった。李強首相が行事の開催を宣言。習氏は「中華民族の偉大な復興は止められない」と力を込めて演説した。続いて黒塗りの車の上から人民解放軍部隊を閲兵し「同志諸君、ご苦労」と呼びかけた。
記念行事が開かれた北京市中心部の天安門広場では、終戦の年である「1945」と今年の「2025」の数字を掲げたモニュメントを展示した。5万人を収容できる臨時の観覧席は中国各地からの来賓らで埋まった。周辺道路は規制され、市民生活に影響が出た。