６２歳の誕生日を迎えられた皇后さまと天皇陛下＝皇居・御所（宮内庁提供）

　皇后さまは９日、６２歳の誕生日を迎えられた。宮内庁を通じて感想を公表し、戦後８０年の戦没者慰霊として天皇陛下と共に戦禍の地を巡ったことに触れ「先の大戦において、わが国を含む世界の各地で多くの尊い命が失われたことに思いを致しながら過ごしてきました。それぞれの地で亡くなられた方々に心から哀悼の意をささげました」とつづった。

　その上で「今後とも永続的に平和を守っていくことの大切さを改めて深く心に刻む年になりました」と記した。

　戦没者慰霊は４月、太平洋戦争の激戦地・硫黄島から始まり、６月に沖縄と広島、９月は長崎を訪問した。訪問先では遺族や戦争経験者に加え、語り部として活動する若者らと交流した。沖縄と長崎は長女愛子さまも同行した。

　感想で「多くの方が苦難の道を歩まざるを得なかった歴史を思うとともに、悲惨な体験や苦労について、戦争を知らない世代が学び、後世に伝えていく大切さを感じました」とした。

　７月は国賓としてモンゴルを公式訪問した。フレルスフ大統領夫妻主催の晩さん会や最大の祭典「ナーダム」の開会式に臨んだ。草原が広がる国立公園に足を運び、雄大な自然を満喫した。

　滞在中は、旧ソ連による戦後の抑留で亡くなった日本人慰霊碑に供花した。感想で「極寒の地で故郷を思いながら亡くなった方々の悲しみに思いをはせました」とした。

　このほか、１月に神戸市で開かれた阪神大震災の３０年追悼式典に参列した。「非常に大きな困難の中から一歩一歩復興を果たしてきた姿に深い感慨を覚えました」と明かした。来年は東日本大震災から１５年、熊本地震から１０年の節目に当たり「被災地の皆さんに心を寄せながら過ごしていきたい」とつづった。