総務省が21日発表した10月の全国消費者物価指数(2020年=100、生鮮食品を除く)は、前年同月比3・0%上昇の112・1だった。伸び率は9月の2・9%から0・1ポイント増え、2カ月連続で拡大した。3%台となるのは7月以来。長引く物価の高騰が家計を圧迫している。
生鮮食品を除く食料は7・2%上昇した。9月の伸びからは鈍化したが、10月は価格を改定する動きが相次ぎ、幅広い食料品が値上がりした。政府は物価高対策を推し進めるが、円安も進行しており、物価の高騰を抑制できるかどうかは見通せない。
コメ類は40・2%上昇した。伸び率は5カ月連続の縮小となったが高止まりが続く。コメを使うおにぎりや外食のすしの価格も高い水準にある。
チョコレートは36・9%上昇。コーヒー豆は53・4%伸びた。原材料高が響いた。鳥インフルエンザが広がった影響で鶏卵も13・6%上がった。
エネルギーの上昇率は2・1%だった。政府が実施する電気・ガス代の負担軽減策が縮小したため、電気代は3・5%上がった。都市ガス代は昨年の上昇幅が大きかったため、1・3%の上昇にとどまった。
10月に保険料が引き上げられた影響で、自動車保険は6・9%上昇。携帯電話の通信料は料金体系の見直しにより14・5%上がった。訪日客の増加に伴い宿泊料も8・5%伸びた。
高校授業料の実質無償化に伴い、公立高校授業料は94・1%下がった。
【消費者物価指数】消費者が購入する商品やサービスの値動きを示す指数。食料品や電気・ガスなど身近な品目の動向を総務省が調査して、毎月公表する。天候による価格変動が大きい生鮮食品を除いた指数が重視され、景気動向や生活水準の変化を把握する材料になる。日銀は、賃上げを伴う形で物価上昇率を前年比2%に安定させることを目標としている。
◆―― 円安「物価押し上げ要因」 日銀総裁が見解
日銀の植田和男総裁は21日の衆院財務金融委員会で、円安進行が消費者物価を押し上げる要因になるとの見解を示した。「為替の変動が物価に及ぼす影響が大きくなる可能性があることに留意が必要」と指摘した。立憲民主党の大串博志氏への答弁。
植田総裁は円安進行に関し「輸入物価を押し上げ、国内物価に転嫁されていくことで、消費者物価の押し上げ要因になる」と説明した。また物価上昇が予想物価上昇率の動向に響くことを通じて「基調的な物価上昇率に影響する可能性にも留意していかなければならない」とした。

































































