記者会見するFRBのパウエル議長=29日、ワシントン(共同)
◆―― 保有資産縮小12月から停止
【ワシントン共同】米連邦準備制度理事会(FRB)は29日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、主要政策金利を2会合連続で0・25%引き下げて3・75~4・0%とすることを決めた。トランプ関税などを背景とした雇用の悪化リスクに対応する必要があると判断した。パウエル議長は記者会見で、12月の次回会合での追加利下げは「既定路線ではない」と慎重姿勢を示した。
新型コロナウイルス禍に大量のお金を市場に供給するために買った米国債などの保有資産について、2022年6月に始めた縮小を12月1日から停止することも決めた。
今回の決定に対し、ミラン理事は0・5%の利下げを主張して反対した一方、カンザスシティー連邦準備銀行のシュミッド総裁は据え置きを求めて反対した。
政府機関の一部閉鎖で経済統計が出そろわないが、FRBは声明で「ここ数カ月、雇用の悪化リスクは上昇した」と分析した。FRBが15日公表した各地の景況報告では、経済の不確実性の高まりなどにより、大半の地区で解雇や自然減を通じた人員削減が増えたとの指摘があった。高関税が一因とされる。
パウエル氏は民間の調査など入手可能な情報を踏まえて「労働市場は徐々に冷え込んでいる。一方インフレは依然高水準にある」と足元の経済情勢を分析した。
FRBは9月時点で、通常ペース2回分に当たる0・5%の年内の利下げを予測していた。残る12月会合で0・25%下げる想定になるが、パウエル氏は「今回の議論で意見が大きく分かれた」とし、予測に基づいて利下げを織り込んでいた市場に注意を促した。出席者の中には立ち止まって雇用情勢を見極めようとする向きがあるとも語った。
保有資産の縮小は「量的引き締め」と呼ばれ、市場に流通するお金の量を減らす効果がある。緩和的な金融政策を正常化し、高インフレを抑えるために始めた。パウエル氏は縮小の停止により「正常化は次の段階に入る」と語った。
パウエル氏は今月中旬、銀行が保有する現金が不足気味になることによる金利急騰などの混乱を避けるため、数カ月以内に縮小を停止する可能性を示していた。
【米連邦公開市場委員会(FOMC)】米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)が当面の金融政策を決める会合。主要政策金利の変更が主なテーマで、物価上昇率や失業率といった指標をもとに、2日間の日程で経済情勢を協議する。終了後に決定事項を記した声明を公表し、FRB議長が記者会見で内容を説明する


































































