史上初めて5万円を超えた日経平均株価を示すモニター=27日午前、東京都中央区
◆―― 急ピッチ上昇、過熱感も
週明け27日の東京株式市場で、日経平均株価(225種)が取引時間中に史上初めて5万円を超えた。高市早苗首相が積極的な財政政策で景気を刺激すると見込んだ「高市トレード」が相場をけん引し、生成人工知能(AI)市場の拡大を予想した半導体関連銘柄の人気が追い風となった。前週末の米国株高に加え、米国と中国の対立が緩和するとの期待を支えに、節目を一気に抜けた。
少額投資非課税制度(NISA)の普及で投資マネーが流入していることも株価上昇の要因となっている。投資家が株高で得た利益を消費に回す好循環も期待される。ただ、急ピッチで株高が進んだことから、相場の過熱感を不安視する声も市場では出ている。
平均株価は2024年2月に史上最高値を約34年ぶりに更新し、翌3月に4万円を超えた。高市氏が自民党総裁に就任後、初の取引となった25年10月6日に2000円を超えて急騰。9月16日の取引時間中に初めて4万5000円を突破してから1カ月余りで大台に到達する異例のペースとなった。
平均株価はバブル経済期の1989年末に終値で3万8915円を付けた後、長期低迷した。2009年3月にはバブル後の最安値となる7054円を記録。12年に安倍晋三首相が就任し、大規模な金融緩和などを軸とする「アベノミクス」が始まったのを機に上昇基調を取り戻した。
【日経平均株価】 日本の代表的な株価指数。東京証券取引所の最上位のプライム市場に上場するトヨタ自動車やソフトバンクグループなど主要225銘柄の値動きを基に、日本経済新聞社が算出する。バブル経済崩壊後は長年低迷したが、企業の堅調な業績などを背景に近年は上昇傾向が続いている。ほかの株価指数としてより幅広い銘柄で構成する東証株価指数(TOPIX)などがある。
◆―― 生活実感と隔たり拡大
【解説】買いが買いを呼ぶ超強気相場で、日経平均株価が初めて5万円の大台を突破した。金融資産を保有する富裕層に大きな恩恵をもたらしたが、投資する余力がない一般家庭は物価高の影響で苦しい。生活実感との隔たりは広がるばかりだ。
高市早苗首相の経済政策に対する期待で株価は一気に押し上げられた。ただ厚生労働省によると、物価の変動を考慮した8月の実質賃金は8カ月連続のマイナスだった。物価の高止まりで賃金の目減りが続いている。
高市氏の政策は株高をもたらす一方、減税や歳出拡大に伴う財政悪化への懸念から外国為替市場で円を売る材料になっている。円安ドル高が進行すれば輸入品の値上がりにつながり、国民生活はさらに厳しくなる。
高市氏には足元の物価高対策に加え、企業の賃上げ環境の整備も求められる。賃金と物価がともに上昇する経済の好循環に日本経済が入ったと判断されない限り、相場の過熱感は拭えない。


































































