
19日、ガザ中部の難民キャンプに対するイスラエル軍の攻撃後に立ち上る煙(ゲッティ=共同)
◆―― 最悪被害、停戦維持懸念
【エルサレム共同】イスラエル軍は19日、パレスチナ自治区ガザ全域を空爆した。最南部ラファで武装勢力の施設を解体していた軍部隊が攻撃され、兵士2人が死亡し3人が負傷したことへの報復とした。中東の衛星テレビ、アルジャジーラによると、少なくとも42人が死亡。10日の停戦発効後、最悪規模の被害となった。イスラエル軍は停戦を「再び順守する」と発表したが、情勢の不安定さが露呈し、停戦維持への影響が懸念される。
トランプ米大統領は19日、大統領専用機内で記者団に、空爆後も停戦は「維持されている」と語った。
イスラエル軍は部隊への攻撃を「停戦合意違反」とし、イスラム組織ハマスの拠点120カ所以上を報復攻撃したと表明。ハマスは声明で、ラファで起きたあらゆる事案と関係がないと強調、停戦を守る考えを示した。ラファに残るメンバーとの連絡は途絶えているとした。
イスラエル軍に攻撃した勢力の詳細は不明。対戦車ミサイルなどで攻撃したという。ハマスは「停戦初日からイスラエルは合意を破っている」とも非難した。
米ニュースサイト、アクシオスによると、米国はイスラエルに「対応しつつも自制を示す」よう求めた。ネタニヤフ首相は一時ガザへの物資搬入停止を決めたが、再開されるという。米国のウィットコフ中東担当特使とトランプ氏の娘婿クシュナー氏が近くイスラエルを訪問し、情勢について協議する見通し。
イスラエル首相府は19日、ガザの和平計画「第1段階」の合意に基づきハマスから人質2人の遺体が返還されたと発表した。これで計12人の遺体が引き渡され、ガザに残る遺体は16人となった。
ハマスは合意に基づき、遺体を含む人質48人全員を13日までに引き渡すことになっていた。生存する人質20人は解放された。「第2段階」ではハマスの武装解除などが議題となる見込みで、協議が難航するのは必至。
ガザ保健当局によると、2023年10月の戦闘開始後のガザ側死者は6万8千人を超えた。