日、米ホワイトハウスでウクライナのゼレンスキー大統領（右）を出迎えたトランプ米大統領（ＡＰ＝共同）

◆――　トランプ氏、激化懸念
　【ワシントン、キーウ共同】トランプ米大統領は１７日、ホワイトハウスでウクライナのゼレンスキー大統領と会談した。ウクライナが求める巡航ミサイル「トマホーク」の供与は戦闘激化につながると懸念を表明し、現時点での供与を見送った。会談後、交流サイト（ＳＮＳ）で現在の前線を固定化して即時停戦するようウクライナとロシアに呼びかけた。

　トランプ氏は会談でトマホークについて「米国も必要だ」と指摘し「供与せずに戦争を終わらせることが望ましい」と主張した。ゼレンスキー氏は会談後、米国に引き続き供与を求める意向を示した。

　トマホークは長射程でウクライナ国内からロシアの首都モスクワに届く。ロシアのプーチン大統領はトランプ氏との今月１６日の電話会談で、トマホーク供与は米ロ関係やウクライナ問題の解決に重大な損害を与えると伝達。トランプ氏は供与を検討していたが、電話会談で慎重姿勢に転じた。

　トランプ氏はＳＮＳで「殺りくをやめ、合意を結ぶ時が来た」とゼレンスキー氏に伝えたと説明。「戦争と勇気によって境界線が引かれた。現状のまま双方に勝利を認めさせ、歴史に判断を委ねるべきだ」と主張した。

　現状で停戦した場合、ロシアがウクライナ国土の２割を占領し続けることになる。トランプ氏は９月、ロシアの全占領地の奪還は可能だと主張しており、領土問題を巡る方針は一貫性を欠いている。

　ゼレンスキー氏は１７日の会談で、プーチン氏に圧力をかけるためトマホークが必要だと強調した。国産無人機と共にロシア国内の軍事目標に限定して使うと述べた。米国がトマホークを供与する見返りに、数千機のウクライナ製無人機を提供する考えも示した。

　米ウクライナ首脳の対面会談は９月２３日以来。ハンガリーの首都ブダペストで予定する米ロ首脳会談についても議論した。トランプ氏はゼレンスキー氏を交えた３者会談を目指さないとした。


　【トマホーク】　米国で開発された巡航ミサイルで高い命中精度が特徴。主に水上艦や潜水艦から発射する。音速に近い「亜音速」で低高度を飛び、敵の防空網をかいくぐるような飛行経路を設定できる。衛星利用測位システム（ＧＰＳ）での誘導も可能。事前に入力したデータと実際の地形を照合し飛ぶ方式もある。米軍は１９９１年の湾岸戦争で実戦投入し、イラク戦争やシリア攻撃でも使った。日本政府は反撃能力（敵基地攻撃能力）の一手段として取得を進める。（ワシントン共同）