
13日、イスラエルの国会で演説するトランプ米大統領=エルサレム(ロイター=共同)
◆―― トランプ氏「戦闘終結」 イスラエル国会で合意誇示
【エルサレム共同】パレスチナ自治区ガザの停戦を巡り、イスラム組織ハマスは13日、生存する人質20人全員を解放した。イスラエル軍が発表した。イスラエルとハマスは米政権のガザ和平計画の「第1段階」に合意。2年を超える戦闘で6万7千人以上が死亡したガザの和平実現に向け、前進した。トランプ米大統領は12日「戦闘は終わった」と明言。13日、イスラエル国会で演説し、米国主導の合意を誇示した。停戦を維持させ和平計画を進めたい考えだが、ハマスの武装解除など難題が残っており先行きは不透明だ。
人質は第1陣7人と第2陣13人に分け、ガザで赤十字国際委員会(ICRC)に引き渡された後、イスラエル軍が自国領内に移送した。停戦発効時の人質は48人で、拘束中に死亡した人質の遺体も返還される予定だが、遅れる可能性がある。
トランプ氏は12日、中東に向かう大統領専用機内で、停戦は維持されると強調した。13日、2期目で初めてイスラエルを訪れ、国会演説に先立ち人質家族と面会した。
イスラエルのネタニヤフ首相はトランプ氏の前に演説し、アラブやイスラム諸国との一層の国交正常化に意欲を示した。
トランプ氏は演説後、エジプト東部シャルムエルシェイクに移動しガザ和平を巡る首脳会合を開催。20カ国以上の首脳らに米主導の計画への支持を求める。エジプト大統領府によると、パレスチナ自治政府のアッバス議長が出席。イスラエル首相府は、ネタニヤフ氏が欠席すると発表した。
イスラエルは人質解放の見返りとして、拘束するパレスチナ人約2千人の釈放を始めた。
ハマスは2023年10月、イスラエルを奇襲し約1200人が死亡。約250人をガザに拉致して人質とし、イスラエルとの戦闘が始まった。両者は23年11月の戦闘休止の際、一部人質とパレスチナ人収容者の身柄を交換。今年1~3月の停戦時にも身柄交換をした。
ガザ保健当局は13日、60人の遺体が収容されるなどし、戦闘開始後のガザ側死者が6万7869人になったと発表した。
◆―― 「新たな中東の夜明け」実績自賛 和平支持求め首脳会合へ
【エルサレム共同】トランプ米大統領は13日、訪問先のイスラエルの国会で演説し、自身が提示したパレスチナ自治区ガザの和平計画によってイスラエルとイスラム組織ハマスの停戦が実現し「新たな中東の歴史的夜明け」が訪れたと述べた。「単なる戦争の終結ではない。テロと死の時代の終焉だ」と強調。自身の指導力を自賛した。
演説後にエジプトに移動。ガザ和平を巡る首脳会合を開催、和平計画への支持取り付けを狙う。トランプ氏は米国からイスラエルに向かう専用機内で、和平実現へ「あらゆる国が結束している。前代未聞だ」と述べた。
トランプ氏がイスラエルとエジプトを訪れるのは2期目で初。イスラエル国会での演説に先立ち、人質家族と面会した。イスラエル国会によると、米大統領がイスラエル国会で演説するのは4人目で、2008年5月のブッシュ(子)氏以来。
トランプ氏は演説で、イスラエル人だけでなく、パレスチナ人にとっても「長く苦しい悪夢がついに終わった」と述べた。「イスラエルは武力によって得られるものは全て勝ち取った」とし、今後は中東全体の和平実現に努力すべきだと訴えた。ロシアとウクライナの戦闘終結実現に向けて尽力する考えも示した。
ネタニヤフ首相はトランプ氏の前に演説し、ハマスが拘束していた生存人質全員が解放され「国民の歴史に刻まれる感動的な日だ」と述べた。
首脳会合はイスラエルとハマスの間接交渉が実施されたエジプト東部シャルムエルシェイクで開催。トランプ氏とエジプトのシシ大統領が共同議長を務める。
米メディアなどによると、フランスのマクロン大統領や英国のスターマー首相、国連のグテレス事務総長のほか、パレスチナ自治政府のアッバス議長も参加する見通し。