
スペインのある牧場で暮らす牛のフェルジナンドは、小さな頃から花が大好き。他の牛たちはマドリードの闘牛場で勇敢に闘うことを夢見ているのに、フェルジナンドだけは花の匂いを静かにかいでいる。そんなフェルジナンドを見守る母親も、いつも優しい。
ある日、闘牛を探しに牛買いたちが、牧場にやってきた。フェルジナンドはいつものように、木の下でのんびり花の匂いを楽しんでいたが、偶然お尻を蜂に刺されて大暴れする。この光景を見た牛買いたちは勇ましい牛を見つけたと大喜びし、フェルジナンドをマドリードの闘牛場へと連れて行く。
しかし、フェルジナンドは闘わず、観客の付けている花の香りに夢中になる。がっかりした牛買いたちは牧場に帰し、フェルジナンドは、また静かに暮らすことになった。勇ましく闘うことが望まれる中で、ひとりやさしく花を楽しむフェルジナンド。偶然から生まれた出来事がフェルジナンドを別の世界へと導いたが、どんな場所でもフェルジナンドは自分のままだった。
中学時代、私はあまりいい思い出がない。自分のままでいるのを認めてくれない多数派に、迎合しなければ生きていけない弱い自分が嫌いで、情けなかったからだ。もちろん、そこを通ってきたからこそ、現在の自分があるのも承知している。年齢を重ね、身体も衰えていくが、今が一番いいと思って生きる。それは、私が自ら選んだ人生だからだ。だがもし戻れるのなら、中学入学からやり直したい。その気持ちは、心の片隅にある。
「あそこで選びなおせるなら」「戻れるならあの時に」なんて思うのは、おそらく何度もあるだろう。生きていれば、成功より失敗が多いのは当然。だからこそ、成功したら大いに喜ぶ。そして失敗は成功のもと。
子どもが通っていた幼稚園の広報誌に「戻れるなら、何歳に戻りたいですか」の質問に「以前にも、同じ質問を受けました。答えは変わりません。〝戻りたくありません!〟とっても今の自分が、気に入っているのです!41歳(当時)の自分より良かった時なんて、考えられないナ~。最近知ったのですが、私…ナルシストです」と、載せていた園長先生。今聞いても、きっと変わらないだろうなあ。お元気かしら。「宇宙一の幼稚園を創る」計画は、進行中ですか。