
船積みを待つ自動車が並ぶ、輸出拠点の横浜港=8月、横浜市
◆―― 27.5%から、打撃緩和 企業になお重い負担
【ワシントン共同】トランプ米政権は16日、日本から輸入する自動車の関税を27・5%から15%に引き下げた。日米関税交渉の合意に基づくもので、トランプ大統領が4日に大統領令に署名。関税引き上げから半年弱で、税率はほぼ半減となる。日本が基幹産業と位置付ける自動車業界への打撃緩和につながるが、トランプ政権発足時の2・5%と比べると高税率で、企業には重い負担が続く。
米政権は4月、国内産業の保護を目的に、輸入する自動車に25%の追加関税を課し、関税を27・5%に引き上げていた。
日本は米国と4月に関税交渉を開始。日本は2024年に米国に約137万台の自動車を輸出しており、関税引き下げや撤廃を最重要課題として協議していた。7月の日米合意で引き下げは決まったものの、適用時期が定まらず日本政府が早期の対応を求めていた。
林芳正官房長官は16日の記者会見で、自動車関税の引き下げについて「(日米交渉の)合意や各国の動向による影響を十分に分析し、万全を期す」と述べた。赤沢亮正経済再生担当相は「歓迎する」とした。
米国は、各国・地域との交渉で、英国車にかける関税を年10万台に限り10%に下げたほか、欧州連合(EU)や韓国とも自動車関税を15%にすることで合意している。
日米交渉では、自動車など分野別関税の対象となる品目を除く輸入品にかかる「相互関税」を軽くする特例措置を適用することでも一致した。15%上乗せされていたが、既存の関税率が15%未満の品目は一律15%とし、15%以上の場合はその税率を維持する。8月7日にさかのぼっての適用となる。民間航空機や航空機部品は相互関税や他の追加関税の対象から外すことになった。
【日米関税合意】トランプ米政権の関税措置を巡る日米間の合意。日本に対する相互関税と日本車への関税をそれぞれ15%にするのが柱。日本は引き換えに5500億ドル(約80兆円)の対米投資を約束したほか、米国産のコメやバイオエタノール、トウモロコシ、防衛装備品、航空機を購入する。赤沢亮正経済再生担当相がトランプ大統領とも会談するなど訪米を繰り返し、合意にこぎつけた。