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2025/09/16 11:30電子版企画

はるみんオススメ書籍(21)「風に立つライオン」

記事写真メイン

 ケニアの日本人医師から、かつての少年兵、そして被災地の子どもへと「心」のバトンが繋がった物語。

 1987年、熱い志と明るいエネルギーを持つ日本人医師・航一郎は、恋人を長崎に残し、アフリカ・ケニアの病院に向かった。

 劣悪な環境で奮闘する航一郎の前に、激しい銃創を負った少年兵・ンドゥングが現れる。心を開かないンドゥングだったが、航一郎の熱く優しいエネルギーを受け、少しずつ変わっていく。そして、遂に医師を志すことを決意するまでにいたる。しかし、その後、航一郎に哀しい運命が訪れる。

 2011年3月、医師となったンドゥングは、東日本大震災で、津波に襲われた石巻を訪れる。そこで出会った避難所明友館のリーダー・木場に航一郎の面影を見る。木場と共に被災者に寄り添うンドゥングは、ある日、かつての自分と同じような目をした少年に出逢う。

 「文明が進むほど天災による損害の程度も累進する傾向があるという事実を十分に自覚して、そして平生からそれに対する防御策を講じなければならないはずであるのに、それが一向に出来ていないのはどういう訳であるか。その主なる原因は、結局そういう天災が極めて稀にしか起らないで、丁度人間が前車の転覆を忘れた頃にそろそろ後車を引き出すようになるからであろう」1923年の関東大震災を経験した、物理学者で随筆家の寺田寅彦の記述である。それから100年余り。彼が予測した未来が現実になっている。

 だが人間は、ただ手をこまねいていたわけではない。関東大震災からはラジオ放送の発達、1995年阪神淡路大震災では携帯電話の急速な普及、2004年インドネシア・スマトラ島沖地震の津波では携帯動画アプリの誕生と、正しい情報入手のために技術を発達させた。ラジオ放送は、今でもかかせない情報ツールだ。

 そして1991年、雲仙普賢岳で発生した火砕流では報道の在り方が問われた。報道関係者16人、消防団員12人、一般人6人、タクシー運転手4人、火山研究者3人、警察官2人、合計43人が犠牲になった。避難勧告が出ていた危険区域にも関わらず、臨場感のある噴火の映像を撮影しようと、取材者が立ち入っていたからだ。ある記者は災害の後、地元の警察署の署長に「私の大事な部下は、あなたたちに危険を知らせるために亡くなった」と言われ、ただただ謝るしかなかった。災害取材では、一番大きなリスクを重視し、また先入観にとらわれてはいけない重い教訓を学んだ。

 日々、私たちは「自然」という恐怖と、向かい合って生活している。だからこそ過去の出来事を「創造力、想像力、信念力、納得力」をもって次に繋げ続ける。命を守るために。人間は経験を活かすことの出来る動物なのだから。

 「天災はわすれたころにやってくる」

記事写真1

「風に立つライオン」さだまさし(幻冬舎文庫)

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