
見送りの家族らにあいさつし、宇宙船に向かう油井亀美也飛行士=1日、米フロリダ州のケネディ宇宙センター(ロイター=共同)
【ケープカナベラル共同】米航空宇宙局(NASA)とスペースXは1日午前11時43分(日本時間2日午前0時43分)、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の油井亀美也飛行士(55)ら4人が乗った宇宙船クルードラゴンを、フロリダ州のケネディ宇宙センターからファルコン9ロケットで打ち上げた。国際宇宙ステーション(ISS)には2日未明(同2日午後)に到着予定。油井さんにとっては2015年に続き2度目の滞在となる。
同乗した米国の飛行士2人、ロシアの飛行士1人と半年ほど滞在し、将来の宇宙探査を見据えた科学実験などを行う。油井さんは飛行中の宇宙船から「日本の皆さん、10年ぶりに宇宙に帰ってきました。ISSでしっかり任務を果たし、1等星のように輝いて、日本の素晴らしいところを世界中の人に知っていただきたい」と抱負を語った。
ISSでは、今年4月から船長を務めている大西卓哉飛行士(49)が油井さんらの到着を待つ。再会後は数日間かけて引き継ぎをし、大西さんは地球に帰還する。
油井さんは国際月探査「アルテミス計画」で月の周回軌道上に建設する基地「ゲートウエー」に必要な二酸化炭素除去技術の実証実験を行う。日本の新型無人補給機「HTV―X」が到着し、ロボットアームを使った捕捉作業に関わる可能性もある。ISSは11月、飛行士の常駐が始まって25年の節目を迎える。
当初の打ち上げ予定は7月31日午後(同8月1日未明)だったが、天候悪化で延期に。出発の朝、油井さんは滞在施設の外で見送りの家族らに「行ってきます」と声をかけ、宇宙船に向かった。
【日本人の宇宙飛行】TBS記者(当時)の秋山豊寛さんが1990年、旧ソ連時代のソユーズ宇宙船に乗って日本人初の宇宙飛行をした。宇宙開発事業団(現JAXA)の飛行士毛利衛さんは92年、米国のスペースシャトルに搭乗。国際宇宙ステーション(ISS)には2009年、JAXAの飛行士若田光一さんが初めて長期滞在した。日本の民間人として初めてISSを訪問した衣料品販売大手ZOZO創業者の前沢友作さんら2人を含め、宇宙に行ったのは計14人。最多は若田さんで5回。