
参院本会議で議長に再選された自民党の関口昌一氏=1日午前
◆―― 野党、ガソリン税法案提出
7月の参院選を受けた第218臨時国会が1日、召集された。参院本会議で議長選挙を行い、自民党の関口昌一氏が再選された。副議長には立憲民主党の福山哲郎元官房副長官が選ばれた。会期は5日まで。自民、公明両党は参院選の結果、衆参両院で少数与党となった国会を迎える。立民など野党7党は、ガソリン税の暫定税率廃止法案を共同提出。与野党の実務者協議を経て秋の臨時国会での成立を目指す。
1日午後には天皇陛下を迎え、参院本会議場で開会式を開く。4日に衆院、5日に参院で予算委員会集中審議をそれぞれ行い、石破茂首相が日米関税交渉合意に関し説明する。
林芳正官房長官は1日の記者会見で「関税協議に関する日米合意など政府の取り組みを丁寧に説明し、国会審議に誠実に対応する」と述べた。
会期を巡り、立民など野党は当初、自民が提案する5日間に反対していたが、秋の臨時国会で暫定税率廃止法案の成立を図る方針を与野党で確認できたため、受け入れた。今国会では廃止法案の審議は予定していない。
自公は参院選で計66の改選議席を47に減らし、非改選75と合わせても参院全体の過半数(125)を下回った。一方、国民民主党は非改選と合わせて22人となり、予算を伴う法案の単独提出が可能となった。議席が伸長した参政党には衆参通じて初めて常任委員長ポストが割り当てられた。
【参院議長】
関口昌一氏(せきぐち・まさかず) 城西歯科大(現明海大)卒。総務副大臣、自民党参院議員会長。72歳。埼玉選挙区、参院当選5回。
参院議員や地元歯科医師会長を務めた父を持ち、自身も歯科医師。埼玉県議を経て2003年の補欠選挙で初当選した。「参院のドン」と呼ばれた故青木幹雄元官房長官を慕い、衆院とは異なる独自性発揮に腐心してきた。
19年から青木氏と同じ自民党参院議員会長を務めた。黒子役を好み「手柄は人に譲る」が信条で閣僚経験はない。会長時代は党運営を巡り幹部を一喝することがあり「感情に波がある」との指摘も。72歳。埼玉県出身。
【参院副議長】
福山哲郎氏(ふくやま・てつろう) 京大院修了。官房副長官、民主党政調会長、立憲民主党幹事長。63歳。京都選挙区、参院当選5回。
民主党の菅直人政権で官房副長官を務め、東日本大震災や東京電力福島第1原発事故の対応に当たった。当時官房長官で苦楽をともにした枝野幸男氏が旗揚げした旧立憲民主党に参画し、代表だった枝野氏を幹事長として支えた。
外務副大臣などを歴任し、外交・安全保障政策に明るい。実務にたけた熱血漢だが、仕事が好きなあまり他人に任せず「抱え込みがち」との評も。参院京都選挙区選出で書道や茶道をたしなむ。63歳。東京都出身。
◆―― 「社会を前に進める」 新人参院議員が初登院
参院選を受けた臨時国会が1日召集され、厳しい選挙戦を勝ち抜いた新人議員らが初登院した。「社会を前に進める」「クリーンな政治を貫く」。小雨が降る中、緊張した面持ちで決意を新たにした。
社民党のラサール石井氏は大量のカメラに囲まれ「(国会議員は)重責なんだな」と感慨深げ。「新人だから」と小さなランドセルを持参し「庶民の生活が少しでも良くなるよう社会を前に進めたい」と決意を語った。
スポーツ庁長官などを務めた自民党の鈴木大地氏=東京選挙区=は「日本を健康に、元気にしたい」と笑顔を見せた。
三重選挙区で自民の裏金議員を破った立憲民主党の小島智子氏は「暮らしが厳しい中で『国会議員は何やってんだ』という怒りがあった。クリーンな政治を貫きたい」と強調。激戦の兵庫選挙区を制した元明石市長の泉房穂氏は「この20年間、国民の生活は苦しかった。即戦力として、国民のために働く国会にする」と力を込めた。
国民民主党の奥村祥大氏=東京選挙区=は「現役世代を元気にしたい」。富山選挙区で自民現職に勝利した国民の庭田幸恵氏は「生活者目線を大切に、身近な国会議員、いつでも会える存在になりたい」と話した。
選挙期間中の発言が物議を醸した参政党の初鹿野裕樹氏=神奈川選挙区=は「間違ったことは言っていないので、誤解されないようにしたい」と述べた。