
津波注意報の一部解除などについて説明する気象庁の担当者=31日午前、気象庁
◆―― 複数地点で最大波、警戒を
30日朝に発生したロシア・カムチャツカ半島付近を震源とする巨大地震による津波は31日になってからも、日本国内の複数の地点で最大波を観測した。気象庁は広範囲に出していた津波注意報について午前、北海道や東北太平洋側などを除く地域は解除した。過去の同規模地震の事例から発生から1日程度は津波の高い状態が続く見込みで、引き続き警戒が必要だ。JR北海道が始発から一部列車を運休にするなど影響は続き、避難先で一夜を明かした人の表情には疲労がにじんだ。
解除は午前10時45分で、注意報が続くのは北海道、青森、岩手、宮城、福島、茨城、千葉に加え、東京の伊豆諸島と鹿児島の種子島・屋久島。
気象庁によると、津波は31日未明に十勝港と茨城・大洗で70センチ、午前5時40分に宮崎・宮崎港で60センチを観測するなど10以上の地点で、その時点での最大波となった。道は31日、津波警報による避難中に、骨折などのけがや体調不良で14人が搬送されたと発表した。
釧路市の市防災庁舎では10人以上が不安な一夜を明かした。このうち同市の中島加代子さん(76)は「こんなに長時間の避難は初めて。床は硬くて冷たく、物音も気になってよく眠れなかった」と疲れた表情を浮かべ、始発のバスで庁舎を後にした。
岩手県は午前9時から災害対策本部員会議を開き、達増拓也知事は「津波はまだ続き、要注意だ。避難者の熱中症対策もきちんとしていこう」と呼びかけた。漁業関連施設への被害が想定されるため、注意報解除後に確認を急ぐとした。
30日の地震の規模はマグニチュード(M)8・7と推定される。気象庁は北海道から和歌山県までの広い範囲に津波警報を発表し、岩手・久慈港で1・3メートルなど各地に津波が到達。夜までに警報は全て注意報に切り替わったが、全国の自治体が出した「避難指示」の対象者は一時約200万人に上った。