
住民らが屋上に避難したむかわ町の消防署=30日午前11時16分(共同通信社ヘリから)
日本国内で震源から最も近い北海道の沿岸部では30日、津波警報を受けて住民らが高台などに次々と避難した。日本海溝・千島海溝地震で津波被害が想定されるエリアでもあり、事前の準備を生かし「落ち着いて行動できた」との声が聞かれた。JR函館駅などが閉鎖され、観光客が途方に暮れる姿も見られた。
釧路町の津波避難タワーには最大で約160人が集まった。同町の北見団地町内会会長の小野恵三さん(77)は「先週末に避難訓練をしたばかり。スムーズに行動できた」とほっとした様子。一方、脚の不自由な人をスロープでタワー上部に運ぶのに必要な車いすの備え付けがなく、避難に支障が生じるなど課題も見つかったといい「反省を生かし、町と対応を詰めたい」と語った。
むかわ町の消防署の屋上や会議室には、一時約300人が避難した。
観光地として人気の函館市。函館駅は津波警報を受けて閉鎖され、夫と娘と3人で旅行に来た宮城県の30代女性は、近隣ホテルの4階の廊下や踊り場に避難した。「駅のロッカーに荷物を預けているが、閉鎖されていて取りに行けない」と途方に暮れた。
昨年10月から青森県八戸市で暮らす米国出身のアンドレア・コーベルさん(22)は、函館への出張中にスマートフォンのアプリで津波警報を知り、滞在していたホテルの最上階に避難した。「警報音が鳴ったときは怖かった」と話した。