
カント・レラに展示されている諏訪さんの絵
登別美術協会が主催する「第15回登別美術協会企画展inカント・レラ 諏訪英雄回顧展」が25日、登別市登別温泉町の登別文化交流館カント・レラで開かれた。8月10日まで。
2011年に亡くなった諏訪さんは礼文郡船泊村出身の教師。胆振で長く教師生活を送っていたこともあり、数多くの絵が登別をはじめとする胆振各所に展示されている。
絵を描き始めた時期は不明だが、諏訪さんの絵には猫や漁師が多い。若草町に居を構え、裏に穴を掘り残飯を捨てていたことで集まった猫の集団の絵を描き出したとみられる。
教師となり初めての赴任先は利尻の中学校で、ほとんどの生徒が漁師の子だった。悪天候時は親を心配する生徒とともに晴天が多くなることを祈るなどしていた。その時を思い出し、登別漁港へ出かけ、漁師のさまざまな場面を描いたりしていたという。
今回は同館の収蔵庫に保管されていた24点を展示。一番新しい作品で07年に描いたものだが、制作時期が不明な作品もたくさんある。
冬場の漁師を描いたものや1カ所に集まっている猫、海が重油に汚染され、漁師たちが怒り悲しんでいる様子などさまざまな情景が描かれている。
同館が9月で閉館し、絵の保管場所がなくなってしまうことから、同協会は無償譲渡を行っている。しかし各作品が大きく、企業など大きい建物を所有している人でなければ難しいのでは、と頭を悩ませている。
申し込みは複数可能だが、運搬などに関する費用は自己負担。8月11日以降同協会から連絡した上、日程調整をして譲渡となる。申し込み者がいなかった場合は全て廃棄となる。
同協会は「諏訪先生の展示は今回で最後。ぜひご観覧していただきたい。胆振地方に縁の深い先生の作品を引き取って、文化の継承をしてもらえる人がいたらうれしい。問い合わせだけでも、譲渡に関係なくしていただけたら」と呼びかけている。
入場料は無料。時間は午前10時~午後5時。譲渡の問い合わせは同協会担当者メールアドレス、hisaej.qhan@gmail.comへ。