
◆―― 与党過半数維持が焦点
第27回参院選は20日に投票、即日開票される。昨年の衆院選で少数与党に転じた石破茂首相(自民党総裁)の政権運営に有権者の審判が下る。与党が非改選を含め参院全体で過半数を維持できるかどうかが最大の焦点で、割り込めば首相の責任論に発展する可能性がある。与野党党首は選挙戦最終日の19日も主要争点の物価高対策で攻防を繰り広げた。現金給付を掲げる自民、公明両党に対し、立憲民主党など野党は消費税減税や廃止を主張した。21日未明にも大勢が判明する見通しだ。
参院は非改選を含め定数が248。3年ごとに半数が改選される。今回は3日公示され、改選124(選挙区74、比例代表50)と東京選挙区の非改選欠員1補充の計125議席に522人が立候補した。全体の勝敗を大きく左右する全国32の1人区のうち、17選挙区で事実上、自民と野党が対決する構図となった。保守系の参政党は全選挙区に候補を擁立した。
首相は与党で非改選を含む過半数(125)の議席確保を必達目標とする。与党の非改選は75で、50議席を獲得すれば過半数に届く。一方、立民の野田佳彦代表は与党過半数割れに意欲を示す。野党の非改選は野党系無所属議員を含め48で、77議席を得れば実現する。
与党が衆院に続き参院でも少数となれば、政権運営は一層厳しさを増すため、今回の参院選は事実上の政権選択選挙と位置付けられた。
物価高対策を巡り、首相は19日、JR仙台駅前での街頭演説で「消費税減税は1年もかかる」と指摘し、迅速な現金給付の意義を説いた。野田氏は東京・有楽町で演説し「われわれは財源を提示し、責任ある減税を推進できる」と強調した。
選挙戦では、トランプ米政権の高関税措置への対応もテーマとなった他、在留外国人の増加を背景に外国人政策が論点に急浮上した。「日本人ファースト」を唱える参政に対し、与野党からは「分断で力を得る政治とは一線を画す」(公明の斉藤鉄夫代表)、「排外主義を訴える勢力にはくみしない」(野田氏)などの声が相次いだ。
【参院選】参院議員の任期は6年で、3年ごとの通常選挙により半数が改選される。今回争われているのは定数248の半数の124に、東京選挙区の非改選の欠員補充1を含めた計125議席。選挙区は都道府県単位が基本だ。「1票の格差」を是正するため、隣接2県を統合する合区が鳥取・島根、徳島・高知で2016年に導入された。比例代表は候補者の得票順に当選する「非拘束名簿式」が原則だが、別枠で得票数にかかわらず優先的に当選が決まる「特定枠」もある。