逮捕状発付の審査のため、ソウル中央地裁に到着した韓国の尹錫悦前大統領＝９日（共同）

　【ソウル共同】韓国メディアによると、昨年１２月の「非常戒厳」宣言を捜査する特別検察官は１０日未明、自身の拘束阻止を指示した特殊公務執行妨害などの疑いで前大統領の尹錫悦容疑者＝内乱首謀罪で公判中＝を逮捕した。前大統領は１月に内乱首謀容疑で逮捕、起訴された後、３月に釈放されており、約４カ月ぶりに身柄を拘束された。

　ソウル中央地裁が、証拠隠滅の恐れがあるなどとして逮捕状の発付を認めた。

　特別検察官は、６月の李在明大統領就任後、与党主導の特別法成立により発足し、政府から独立した立場で捜査している。北朝鮮との軍事衝突を誘発しようとしたとして外患容疑などでも前大統領を調べている。

　今回の逮捕容疑は、高官犯罪捜査庁（高捜庁）による内乱首謀容疑での拘束令状執行を、大統領警護庁に阻止させた特殊公務執行妨害の疑い。戒厳令を正当化する虚偽の情報を海外メディアに流すよう指示した職権乱用などの疑いもある。

　韓国メディアによると、前大統領は９日、地裁で実施された逮捕状審査で容疑を否認した。内乱首謀罪を巡っても、公判で起訴内容を全面的に否認している。

　逮捕状審査後、ソウル近郊のソウル拘置所で待機し、発付後に逮捕された。同拘置所で個室を与えられるとみられる。

　与党「共に民主党」は、逮捕を歓迎すると表明し「誰も再び内乱を夢見ることができないよう、首謀者や共犯者の罪をしっかり明らかにしなければいけない」と訴えた。