
大統領専用機内で記者団に話すトランプ米大統領=1日(ロイター=共同)
◆―― 「合意疑わしい」不満表明 迫る期限、局面厳しく
【ワシントン共同】トランプ米大統領は1日、大統領専用機内で記者団の取材に応じ、日本との関税交渉に関して「合意できるかどうか疑わしい」と強い不満を表明した。日本に手紙を送って「30%か35%、もしくはわれわれが決めた数字」の関税を課すことを伝えるとも述べた。日米両政府は、9日に迫る「相互関税」上乗せ分の停止期限も念頭に交渉していたが、米側が強硬姿勢を崩さず、日本はさらに厳しい局面に追い込まれた形だ。
日本は赤沢亮正経済再生担当相が4月以降7回にわたって訪米し、ベセント財務長官らと閣僚間で協議を重ねていたが、具体的な成果は出ていない。トランプ氏は「日本は非常に強硬だ」「甘やかされている」と主張。米国のコメや自動車を受け入れないことを非難し、輸入拡大を改めて求めた。「貿易に関しては非常に不公平だった。そんな時代は終わりだ」と強調した。
「日本はわれわれが必要としていることをやることはできない」とも語り、このままでは貿易赤字解消には不十分だとして反発した。関税の対象範囲には言及しなかった。
ホワイトハウス関係者は1日、相互関税の停止期限までは「他の貿易相手国(との交渉)に注力するつもりだ」と述べ、各国・地域との交渉で日本を後回しにすると明らかにした。
米国が日本に課す相互関税は24%で、9日までは各国・地域に一律に課す10%に引き下げられている。このほか自動車や主要自動車部品に25%、鉄鋼、アルミニウムに50%の追加関税をそれぞれ課している。
【トランプ関税】トランプ米政権が貿易赤字削減や製造業の国内回帰を狙って輸入品にかける追加関税。品目別は3月に鉄鋼とアルミニウム、4月に自動車、5月に主要な自動車部品にそれぞれ25%を課した。鉄鋼とアルミは6月4日に2倍の50%に引き上げた。大半の国・地域には一律10%の相互関税を4月にかけた。貿易赤字額に応じて約60の国・地域を対象にした相互関税の上乗せ分は7月9日まで一時停止。中国、英国とは多くの関税引き下げで合意した。