
14日、イスラエルの攻撃を受けるイランの首都テヘラン(WANA提供・ロイター=共同)
◆―― 再攻撃宣言、応酬激化
【テヘラン、エルサレム共同】イラン革命防衛隊は13日、イスラエルによる核関連施設などへの空爆に対する報復として、イスラエル中部の商都テルアビブなどを多数のミサイルで攻撃し、爆発が起きた。地元メディアによると女性1人が死亡、60人以上が負傷した。イスラエルのカッツ国防相は再攻撃を宣言。イラン首都テヘランでは14日未明も防空システムが作動し、メヘラバード国際空港で爆発があった。応酬が激化している。
イスラエル軍によると、イランによるミサイル攻撃は13日夜に計2波あり、14日未明にも数十発が発射された。イラン国営テレビは数百発の弾道ミサイルを発射し、100発は極超音速ミサイルだと報道。イスラエル軍は大半を迎撃したとしている。テルアビブでは建物や車両が損傷した。
カッツ氏は「人口密集地が狙われ、越えてはならない一線を越えた」と主張した。
イランのアラグチ外相は13日、ラミー英外相と電話会談し「イスラエルの攻撃を前にしてイランに自制を求めるのは不当だ」と述べた。
トランプ米大統領とイスラエルのネタニヤフ首相は13日、電話会談し、イランへの対応を協議した。AP通信によると、米軍が地上配備型対空防衛システムを使い、ミサイル迎撃を支援した。
イスラエル軍は、13日未明からテヘランや核開発の中枢を担う中部ナタンズのウラン濃縮施設を空爆し、革命防衛隊トップのサラミ司令官や軍のバゲリ参謀総長、核科学者6人を殺害した。同日中に攻撃した箇所は200以上に上ったと発表した。
イランはミサイル以外にも無人機100機以上を使ってイスラエルを攻撃したが、イスラエル軍は全て迎撃したとしている。
イラン核問題を巡る米イランの協議は行き詰まっており、トランプ氏は13日、イスラエルによる空爆後、交流サイト(SNS)への投稿でイランに譲歩するよう迫った。
◆―― 降り注ぐ閃光、建物破壊 「激化しないで」祈る住民
高層ビルが立ち並ぶイスラエルの商都テルアビブにオレンジ色の閃光が降り注ぐ。爆発音とともに煙が立ち上った。イランによる13日夜の報復攻撃。一部のミサイルは着弾したとみられ、建物は破壊され、火災も起きた。イスラエル軍の迎撃とみられる爆発音が各地で響き、住民は「これ以上エスカレートしないでほしい」と祈った。
テルアビブからの映像によると、イランが発射したミサイルとみられる物体は上空で次々と迎撃されたが、一部の閃光は一直線に地上に落下。通りにがれきが散乱し、複数の車が大破していた。
聖地エルサレムでも警報音が鳴り響く中、上空で「ドーン」という鈍い爆発音が響いた。男性(43)は、サイレンが鳴るたびに自宅のシェルターに避難したという。「不安で仕方ない」と唇を震わせた。
イスラエルによるイラン攻撃は13日夜も続いた。首都テヘランの上空には黄色い閃光が走り、爆発音が響いた。時折、防空システムの迎撃とみられる赤い玉のような光も確認できた。
14日未明には、テヘラン中心部の広場に報復攻撃を祝う大勢の市民が集結。拳を突き上げて「イスラエルに死を」とスローガンを何度も叫んだ。国旗を振る人もいた。
◆―― イランは「壊滅的な打撃」 トランプ氏、核協議に意欲
【ワシントン共同】トランプ米大統領は13日、イスラエルによる空爆でイランが「壊滅的な打撃を受けた」と指摘した。イランが米国との核協議で「真剣に交渉し始めるかもしれない」とも主張し、15日に計画通りオマーンで高官協議を開きたいとの意向を示した。ロイター通信やニュースサイト、アクシオスなどの取材に答えた。
トランプ氏は、イスラエルが攻撃で「偉大な米国製の装備」を使ったと誇示し、攻撃は「成功」だったと強調した。イランの核開発計画が継続可能な状態かどうかは「分からない」と述べた。
地域紛争に発展する懸念はないとも主張し、応酬が激化するのを回避したい考えもにじませた。イランの反撃にはイスラエルを支援すると述べた。
4月12日に始まった高官協議の交渉期間を60日間としていたと説明。今月12日に期限が過ぎたため、当初は自粛を求めていたイスラエルの攻撃を最終的に了承したと示唆した。
トランプ氏は13日、カタールのタミム首長と電話会談し、中東の緊張緩和を巡り協議した。カタールはイランともパイプを持ち、米イランの仲介も担ってきた。