
パレスチナ自治区ガザで、イスラエル軍の攻撃による犠牲者の周りに集まる人々=18日(ゲッティ=共同)
【エルサレム共同】イスラエル軍は18日、パレスチナ自治区ガザ北部と南部で大規模な地上侵攻を開始したと発表した。3月中旬にガザ攻撃を再開して以降、最大規模の侵攻とみられる。軍事的圧力を一層強め、17日に仲介国カタールで再開した停戦交渉でイスラム組織ハマスに対し、人質解放や武装解除などの要求受け入れを迫る狙いがある。
パレスチナ通信によると、イスラエル軍による18日の北部ガザ市や南部ハンユニスなどへの攻撃で140人が死亡した。一方、イスラエル首相府は18日、3月に停止したガザへの人道支援物資の搬入を再開すると発表した。「飢餓が起きないよう最低限の食料を供給する」としている。トランプ米政権から再開圧力が強まっていた。
イスラエル軍は地上侵攻について、ハマスの指揮系統に打撃を与え、政治と軍事両面で壊滅を目指すと強調。地上作戦を支援するため、ハマスの拠点670カ所以上を最近、空爆したとしている。
18日にガザ北部を視察したザミール軍参謀総長は人質解放を進めるため、攻撃を緩める可能性についても言及した。ハマスから譲歩を引き出す狙いがあるとみられる。
ガザ保健当局によると、2023年10月の戦闘開始以降のガザ側死者は5万3300人以上。
停戦交渉を巡って駆け引きが続いている。米ニュースサイト、アクシオスによると米国のウィットコフ中東担当特使は停戦案の更新版を双方に提示。45~60日間の停戦やイスラエルがパレスチナ人を釈放するのと引き換えに、ハマスが人質10人を解放する内容という。
この停戦案が将来的に戦闘終結につながる可能性を明示した文言も盛り込んでおり、一貫して恒久停戦を主張し、武装解除に応じない構えを崩していないハマスに妥協を促しているとみられる。
【ガザ戦闘】パレスチナ自治区ガザで2023年10月に始まったイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘。ガザを実効支配していたハマスによるイスラエル奇襲が発端。イスラエル軍の報復空爆と地上侵攻はガザ全域に及んだ。イスラエルが境界を封鎖し域内人口の9割が避難民となり、人道危機が深刻化した。両者の合意で今年1月に停戦発効。3段階の停戦合意の第1段階としてハマスが人質解放、イスラエルは拘束下のパレスチナ人釈放を進めた。3月1日に停戦期限が切れ、イスラエル軍は同18日にガザ攻撃を再開した。