
モロッコ地震での現地の様子を振り返る加賀谷さん=15日、洞爺湖町
◆―― 「地元でも声かけ意識を」
【洞爺湖】モロッコの観光都市マラケシュ滞在中に同国中部を襲ったマグニチュード6・8の地震に遭遇した洞爺湖町ジオパーク推進課の加賀谷にれさん(48)。幸いにもけがはなく、旅行者に対する現地の人々の優しさ、心遣いに触れたと感謝を口にする。「洞爺湖町も観光のまち。災害があった場合は同じように旅行者への声かけが必要と強く感じた」と振り返った。
地震はマラケシュ南方の山岳地帯を震源に8日午後11時(日本時間9日午前9時)過ぎに発生。加賀谷さんは洞爺湖有珠山ジオパークの再認定審査などが行われる国際会議出席のため、1~14日の日程で同ジオパーク推進協会議職員とモロッコを訪問していた。会議には日本から約40人、世界50カ国以上から1500人ほどが参加していたという。
地震発生当時、マラケシュの旧市街地のホテルにいた加賀谷さん。「ガタガタと揺れた後、大きな横揺れがきた」。グラスなどが床に落ち割れるなどした。すぐにドアを開け避難路を確保したという。「まちは騒然していた」と振り返る。
揺れが収まると、住民たちは避難を始めた。現地の住民は加賀谷さんら日本人に対し、水を届けたり、「逃げるぞ」などと積極的に声をかけてくれたという。「土地勘がなく不安な中、地域の人たちの旅行者に対する優しさをとても感じた」。その後、市内で最大のモスク・クトゥビーヤモスクに避難した。
「建物はレンガ造りが大半のため揺れに弱く、倒壊している建物もあった」と現地の様子を振り返る。9日の閉会式では、献血の要請があり協力。14日未明に帰町した。
災害の備えの必要性を強く感じながら「洞爺湖は観光地。災害があったら海外の人、旅行者への声かけが必要。しっかりと意識していきたい」と話した。
また今回会議に参加した日本人とは無料通話アプリ「LINE」でグループを作り、それぞれの安否を確認。加賀谷さん自身も町役場にラインで無事を伝えた。災害時のSNSの活用を改めて実感したという。