準天頂衛星「みちびき5号機」を載せ、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられるH3ロケット8号機。2段目のエンジンが予定より早く燃焼停止した=22日午前10時51分(共同通信社ヘリから)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は22日午前、日本版衛星利用測位システム(GPS)を構成する準天頂衛星「みちびき5号機」を搭載したH3ロケット8号機を、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げた。ロケットは飛行中、2段目のエンジンが予定より早く燃焼停止。文部科学省によると、衛星を予定の軌道に投入できず、打ち上げは失敗した。
ロケットは当初、7日に打ち上げる予定だったが、2段目にある機体制御のための機器から通常と異なるデータが検出され延期。17日には地上設備の不具合で発射直前にカウントダウンを中止した。いずれも原因を特定し再挑戦に臨んでいた。
H3ロケットは2023年の1号機で2段目のエンジンが点火せず、指令破壊。その後は5回連続で成功していた。
みちびきは、衛星からの電波によりスマートフォンやカーナビなどで現在位置の把握を可能にするシステム。18年に4機体制の運用を開始、米国のGPSなどを補い、電波を安定的に提供してきた。
政府は他国に頼らない自立したサービスを可能にするため、7機体制への増強を目指している。今年2月に6号機を先行して打ち上げており、今回が6機目だった。
カバー対象としているアジア、オセアニアの中で提供地域をさらに拡大し、一部の衛星が使えなくなってもサービスを継続できるよう、将来的には11機体制にする計画もある。
【みちびき】人工衛星が送る電波により、地上で正確な位置を求めることができる日本の衛星測位システム。米国のGPSは地球全体をカバーするが、山間部やビル街など電波が遮られがちな地域もある。みちびきは日本のほぼ真上に衛星が長くとどまり、GPSと一体で位置情報を安定的に提供できるよう設計した。日本からオーストラリアにわたり8の字の軌跡を描く準天頂軌道の衛星と、赤道上空の静止衛星で構成する。
【H3ロケット】国産で約30年ぶりに開発された大型ロケット。主エンジンに新開発した「LE―9」を採用、機体も大型化し、H2Aよりも大きく重い衛星や複数の衛星の同時打ち上げにも対応する。市販品の利用や3Dプリンターによる部品製造により費用の抑制を狙った。名前の「H」は燃料に使う水素の元素記号に由来する。


























































