「北海道・三陸沖後発地震注意情報」の呼びかけ期間を終え、記者会見する内閣府の担当者=16日午前、気象庁
政府は「北海道・三陸沖後発地震注意情報」(注意情報)の発表に伴う、すぐに逃げられる態勢の維持など「特別な備え」の呼びかけを16日午前0時に終了した。大規模地震が起きる可能性は低下しているものの、赤間二郎防災担当相は同日朝の記者会見で「可能性がなくなったわけではない」と強調。避難場所の確認、家具の固定といった日常生活で取るべき防災行動を住民に引き続き求めた。
注意情報は2022年12月に導入された制度。これまで発表されたことはなく今回が初めてだった。かねて指摘されていた認知度の低さが改善したとみられる一方で、避難経路の確認など具体的な行動につながる効果は限定的だったとの意見が研究者らから出ている。赤間氏は「どこまで防災対応に寄与したのか検証していかなければならない」と言及した。
政府は26年度に防災庁を創設する方針だ。注意情報で想定する日本海溝・千島海溝地震の減災政策は、南海トラフ巨大地震などとともに最重要課題の一つ。本庁設置に続き、地方拠点を設ける方向で検討している。
気象庁と合同記者会見を開いた内閣府は「住民、自治体などは大きな混乱なく、おおむね冷静に対応してくれた」と評価。「日頃の備えに不十分なところがあれば充実を図り、次の情報発表時の対応をあらかじめ決めておいてほしい」と強調した。
8日深夜に青森県東方沖で発生した地震がマグニチュード(M)7・5を記録。青森県では震度6強を観測した。気象庁は9日未明、基準に沿って注意情報を発表。先発地震から168時間(1週間)が経過すると解除する仕組みとなっている。
総務省消防庁の16日午前の集計によると、8日以降の地震による負傷者は3道県で46人。共同通信の集計や取材では9千人以上が避難し、最大規模の津波浸水想定区域内で車の渋滞が起こるなど、課題が浮き彫りになった。青森県八戸市では鉄塔が損傷。9日は北海道と東北で300以上の学校が休校した。
【北海道・三陸沖後発地震注意情報】日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の想定震源域でマグニチュード(M)7以上の地震が発生した場合などに、より大きな地震の可能性が平常時より高まったとして気象庁が発表する。7道県182市町村が対象で「特別な備え」が1週間呼びかけられる。M9・0の東日本大震災の2日前にM7・3の前震が起きていたことが導入契機となった。政府は2021年に巨大地震の被害想定を公表。最悪のケースで死者は19万9千人に及ぶが津波避難などを徹底すれば、犠牲者を8割減らせると指摘した。




























































