ノーベル賞授賞式で、生理学・医学賞のメダルと賞状を授与された坂口志文・大阪大特任教授(左)、化学賞のメダルと賞状を授与された北川進・京都大特別教授=10日、ストックホルムのコンサートホール(共同)
【ストックホルム共同】ノーベル賞の授賞式が10日夕(日本時間11日未明)、ストックホルムのコンサートホールで開かれた。スウェーデンのカール16世グスタフ国王が、生理学・医学賞の坂口志文大阪大特任教授(74)と化学賞の北川進京都大特別教授(74)に最高の栄誉を示すメダルと賞状を授与した。
授賞式後、坂口氏は報道陣の取材に「本当に光栄で、人生で特別な日になると思います」と応じ、メダルについては「結構重たい」とにこやかだった。北川氏は出席者と記念撮影していた。
2人はえんび服で出席。メダルと賞状を手渡され、国王と握手を交わすと、華やかなファンファーレが鳴り響いた。会場では家族や共同研究者らを含め、1500人以上が見守った。
続いて近くの市庁舎に移り、「青の間」で国王やノーベル財団関係者約1300人と晩さん会に臨んだ。王族や他の受賞者が並ぶテーブルで、夕食や音楽の演奏を楽しんだ。
坂口氏は過剰な免疫反応を抑える「制御性T細胞」を発見し、自己免疫疾患やがんなどの治療に新たな道を開いたと、たたえられた。北川氏は微小な穴の開いた新材料「金属有機構造体(MOF)」を開発。用途に応じて穴の構造を変えられ、メタンや窒素などを出し入れできることが評価された。
日本のノーベル賞受賞は個人では計30人、昨年平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(被団協)と合わせると計31例。同じ年に2分野で受賞が決まったのは10年ぶり。
坂口氏は米のメアリー・ブランコウ氏ら2氏との、北川氏はオーストラリアのリチャード・ロブソン氏ら2氏とのそれぞれ共同受賞。
賞金は各賞1100万スウェーデンクローナ(約1億8千万円)で、生理学・医学賞と化学賞は3氏で均等に分ける。
坂口 志文氏(さかぐち・しもん) 1951年1月19日、滋賀県長浜市出身。76年京都大医学部卒。83年京大で博士号取得、医学博士。米ジョンズ・ホプキンズ大、米スタンフォード大などを経て99年京大再生医科学研究所教授。2011年大阪大免疫学フロンティア研究センター教授。25年大阪大特別栄誉教授。15年ガードナー国際賞、20年ロベルト・コッホ賞など受賞。17年文化功労者、19年文化勲章。74歳。
北川 進氏(きたがわ・すすむ) 1951年7月4日、京都市出身。74年京都大工学部卒。79年京大大学院博士課程を修了、工学博士。近畿大助教授、東京都立大教授などを経て、98年京大大学院工学研究科教授。2013年京大高等研究院物質―細胞統合システム拠点長、17年京大特別教授。24年から京大理事・副学長。13年江崎玲於奈賞、16年日本学士院賞、17年藤原賞など受賞。25年文化勲章、文化功労者。74歳。
【ノーベル賞】ダイナマイトの発明で知られるアルフレド・ノーベルの遺言に基づき1901年に創設された賞。英語表記は「The Nobel Prize」。生理学・医学、物理学、化学、文学、平和、経済学の各分野で、人類に最も大きな貢献をした個人や団体に贈られる。授賞式はノーベルの命日の12月10日に、平和賞はノルウェーのオスロ、それ以外はスウェーデンのストックホルムで開かれる。




























































