
上皇さまと上皇后美智子さま=東京・元赤坂の仙洞御所(宮内庁提供)
上皇后美智子さまは20日、91歳の誕生日を迎えられた。戦後80年の戦没者慰霊として硫黄島、沖縄、広島、長崎を訪問した天皇、皇后両陛下を見守り、戦後50年に際して同じ場所を巡った「慰霊の旅」のことを上皇さまと語り合った。上皇さまの日常を細かく支えつつ、自身の体調とも向き合う日々が多くなっているという。
宮内庁によると、昨年10月に骨折した右大腿骨の状態はほぼ回復した。脚力低下による転倒を防ぐため、侍医の介助を受けながら、住まいの仙洞御所内や赤坂御用地を歩き、軽い運動をする。側近は「お疲れやすくなり、体力も少しずつ低下されているように感じられる」と明かす。午後に微熱が出る症状があり、心不全の診断指標となる数値は正常値を超える高い状態が続いている。
この1年は外出の機会が少なく、2月に東京・葛西臨海公園でスイセンを楽しみ、4月は学習院ミュージアムで展覧会を鑑賞した。8月は静養で長野・軽井沢を訪れた。9月にあった秋篠宮家の長男悠仁さまの成年式はテレビで見守り、成長を頼もしく思ったという。
1月、未発表の466首を収めた歌集「ゆふすげ」が出版された。日課として、朝食後に上皇さまと音読を続け、現在は田中貴子さんの「いちにち、古典」を読む。一人では新聞記事で目に留めた絵本「シリアの秘密の図書館」を読んでいる。