
4万7000円を突破した日経平均株価を示すモニター=6日午前、東京・東新橋
◆―― 上げ幅、一時2千円超
週明け6日午前の東京株式市場は、日経平均株価(225種)が大幅続伸し、取引時間中として初めて4万7000円を突破した。前週末終値からの上げ幅は一時2000円を超えた。高市早苗氏が自民党の総裁に選出され、財政拡張への期待から買い注文が膨らんだ。東証株価指数(TOPIX)も取引時間中としての最高値を更新した。
午前終値は前週末終値比2065円86銭高の4万7835円36銭。TOPIXは89・51ポイント高の3218・68。
4日に自民党総裁に選出された高市氏は、首相に指名される公算が大きくなった。高市氏は金融緩和を重要視しており、外国為替市場では日銀の追加利上げのハードルが上がるとの見方から海外との金利差が改めて意識されて円売りが広がり、対ユーロではユーロ導入後の最安値を更新した。
株式市場では高市氏が積極財政を掲げていることから、景気を下支えするとの見方が投資家心理を明るくし、ほぼ全面高となった。外国為替市場の円安傾向は自動車メーカーなど輸出関連銘柄に追い風となった。
野村証券の松田知紗ストラテジストは「市場にとっては高市氏はサプライズで、投資拡大や減税策などが実現すれば目先の経済にプラスになると認識された」と語った。
◆―― 期待先行、政局なお不安定
日経平均株価が急騰し初めて4万7000円を超えた。自民党の新総裁が高市早苗氏に決まり、大型の経済対策や日銀の利上げ路線停滞への思惑から買い注文が殺到した。ただ、野党との協議を巡って政局はなお不安定で、期待先行の面は否めない。
高市氏は「責任ある積極財政」を主張し、国の借金である赤字国債の発行を視野に入れつつ物価高対策に注力する構えだ。景気を下押しするとして日銀の利上げにも慎重な姿勢を見せている。
ただ、経済対策の裏付けとなる補正予算を組むには、少数与党の自民党は野党の協力を取り付ける必要がある。高市氏の圧力で日銀の利上げが遅れれば、物価高が沈静化しない恐れもある。
平均株価は米国株高や人工知能(AI)関連株への期待もあり上昇しているが、このところ過熱感が指摘されている。高市氏への期待が失望に変われば急落するリスクもある。