
東京運輸支局で通知文書を受け取った日本郵便の五味儀裕執行役員(左)=1日午前、東京都品川区
日本郵便が配達員の酒気帯びの有無を確認する点呼を適切に実施していなかった問題で、国土交通省は1日、貨物自動車運送事業法に基づき47都道府県の111郵便局に対し、軽バン計188台を15~160日間の使用停止とする行政処分を通知した。8日から効力が発生する。
日本郵便の五味儀裕執行役員は1日午前、東京運輸支局(品川区)で通知文書を受け取り「重大な法令違反であり、大変重く受け止めている」と述べた。
同社は「確実な点呼の実施など安全確保を徹底し、信頼回復に全力で取り組む」とコメント。小池信也社長が午後3時から東京都内で記者会見すると明らかにした。
国交省によると、使用停止の台数は深川(東京)と尾道(広島)の両局がそれぞれ7台で最多。岩手、富山、福井、香川、熊本の5県の9局では、1台しかない軽バンが83~154日間使えなくなる。
軽バンはゆうパック配達の主力で、使用停止の穴を埋めて物流を維持するため、日本郵便は外部委託や車両に余裕がある局の応援で対処する。
この問題で国交省は6月、日本郵便に対し、大型のトラックやバン約2500台の貨物運送事業許可を5年間取り消しとした。軽バン約3万2千台を対象とした監査も進め、第1弾として9月上旬、111局に今回の処分案を通知。異議はなく確定した。郵便局の処分は今後も続く見通しだ。
【日本郵便の不適切点呼】日本郵便は4月、集配業務を担う全国の郵便局の75%に当たる2391局で、酒気帯びを確認する法定点呼を適切に実施していなかったと発表。その後、点呼総数の18%に当たる10万2千件で記録簿を改ざんしていたと明らかにした。国土交通省は6月、各地の郵便局などで保有する全てのトラックやバン約2500台による貨物運送事業の許可を取り消した。軽バンの運送事業は届け出制になっており、国交省は法令違反のあった郵便局に順次、車両使用停止の処分を科す方針を示している。