
家庭菜園でトウモロコシをくわえるヒグマ=14日、函館市(住民提供)
◆―― 専門家「生ごみ放置注意」
道内外でヒグマによる被害が相次いでいる。今時季は山中の餌が少なくなるため、食料を求めて人里に来る個体が増える。西胆振でも目撃情報が寄せられ、道はヒグマの出没情報の多発や人身事故の発生を受け「秋のヒグマ注意特別期間」の開始を前倒しした。胆振総合振興局は自治体など関係機関と机上訓練などを行う予定。専門家は「生ごみや空き缶といった誘引物を屋外に放置しないことが重要」と強調する。
道は、例年9月に始める「秋のヒグマ注意特別期間」を初めて前倒しし、22日からスタート。山菜採りやキノコ狩りで山に立ち入る機会が増え、冬眠前に活動が活発化するヒグマとの遭遇リスクが高まるとして、ポスター掲示やリーフレットの配布などで注意を促す。10月31日まで。ホームページに市町村のヒグマ出没情報サイトへのリンク集を掲載する。
胆振総合振興局は今後、室蘭市や道猟友会室蘭支部と、ヒグマ出没を想定した机上訓練などを行う予定。同振興局の担当者は「実際の状況を想定し、迅速かつ適切な対応ができるよう関係機関との連携強化を図る。地域住民の安全を守るため、しっかりと準備を進めていきたい」と話す。
西胆振地域でも出没情報が相次いでいる。室蘭岳の登山道付近で7月、クマのふんとみられる痕跡が確認され、登別市ののぼりべつ自然緑地では足跡が発見された。伊達市東有珠町では7月と今月の合わせて3件、高速道路高架下でヒグマとみられる動物の姿が目撃され、市に情報が寄せられている。
クマの生態に詳しいヒグマ学習センター(登別市)の前田菜穂子さん(77)は、本来臆病なクマが人の生活圏に現れる理由を「餌があることを学習していた」と推測。食料に強く執着する「餌付いた」状態は、駆除の対象になるケースが多いという。
7月12日に福島町で新聞配達中の男性(52)が襲われ死亡した事故では、ヒグマがごみ箱をあさった複数の痕跡が確認された。同4日に岩手県
北上町で在宅中の女性(81)が襲われ死亡した事故でも、事故前から倉庫の食料が荒らされていた。前田さんは「住宅街での出没が多い場合、人への襲撃を相当警戒しなければならない」と指摘する。
9月にかけ、ヒグマの主要な餌は昆虫に切り替わるが、近年は昆虫の数が減少傾向にあり餌不足が深刻化している。一方、カボチャやスイートコーンといった農作物の収穫期に入るため、畑や家庭菜園に侵入して味を覚えたクマが繰り返し出没する例もあるという。前田さんは「畑だけでなく、弁当の容器や空き缶、生ごみなどの管理も徹底してほしい」と各家庭での対策も訴えている。