
ふと思い立って山下公園前に常設されている氷川丸を訪れてみました。横浜市民として何度も目の前を通っていたはずなのに、船内に入ったのは今回が初めてでした。
氷川丸は1930年に竣工し、戦前は日本とアメリカ・シアトルを結ぶ貨客船として活躍していました。戦争中は病院船に改装され、戦後は再び太平洋を渡る定期航路へ復帰。1960年に引退し、横浜港に常設保存され、国の重要文化財に指定されています。
船内に足を踏み入れると、当時の華やかな客室や食堂、操舵室や機関室まで見学コースが続き、航海の様子がまじまじと感じられるようになっていました。一等船室のダイニングサロンは、当時の華やかな船旅を知ることができますよ。また、デッキには椅子もあって船旅をしているかのようにそこで座ってゆったりと海を眺め過ごすこともできました。
見学後は、降りてすぐ隣にある「STARBOARD SHOP」へ。地元民のつもりで立ち寄ったはずが、思わずポストカードを何枚か手に取っていました。観光客気分です。
最近知人から「旅行とは、誰かの日常に行くこと」という言葉を聞きました。確かにその通りだなと。私は横浜に暮らしていながら、横浜の至るところを巡ることで、日常のなかでも旅気分を味わっていました。きっと横浜に限らずですが、目の前にある景色を旅行の気分でふっと見つめ直すだけで、毎日に充実と発見があるんだろうなと、そんなことを改めて感じる氷川丸見学でした。
(稲葉美菜子・いなば行政書士事務所)