
ヒグマ1頭が射殺された現場付近=18日午前5時7分、北海道福島町
新聞配達員がヒグマに襲われて亡くなった福島町は18日、同町月崎の住宅地で午前3時半ごろ、ヒグマ1頭が駆除されたと明らかにした。現場は12日に新聞配達員の男性が襲撃された場所から南東に約900メートルの住宅脇で、男性を襲った個体かどうかは不明。周辺では少なくとも2頭が住宅地に侵入を繰り返している。今後、DNA型鑑定を進める。
道警松前署によると、午前2時ごろ、住民の女性から「自宅の窓から外を見たらクマがいる」と通報があった。付近をパトロール中の猟友会のハンターが茂みの中にいるヒグマを発見。付近は住宅があり鳥獣保護管理法では猟銃が使えず、同行した警察官が警察官職務執行法に基づき、人に危険は及ばないと判断して発砲を命じ、ハンターが2発を発砲、命中した。1発目が致命傷だという。ヒグマは体長約1・5メートル。
北海道立総合研究機構は14日、専門家を現地に派遣し、襲撃したヒグマのものとみられる体毛を採取。襲撃現場やヒグマの痕跡のある場所を調査し、少なくとも2頭が出没していたと明らかにしていた。町や署は、8月11日までのヒグマ警報発令中は24時間態勢でパトロールを続ける。
◆―― 襲撃クマ「まだいるかも」 銃声響く住宅街、残る不安
18日未明、ヒグマ1頭が駆除された北海道福島町。12日に新聞配達員の男性が襲われて命を落として以降、地域ではヒグマの影におびえる生活が続いてきた。ただ、少なくとも2頭が出没していたとの情報もあり「人を襲ったクマはまだいるかもしれない」。住民らは不安をぬぐえずにいる。
午前3時半ごろ、駆除された現場近くの家にいた会社員・坂口愛さん(30)は、銃声を聞いて2階から外をうかがった。警察官やハンターが集まり、住宅と物置の間の通路を捜索しているのが見えた。
午前3時過ぎに起床して間もなく、緊迫した空気に気付いた。近くの道路に止まったパトカーから「クマがいるので出歩かないで」とのアナウンス。「失敗して飛び出してくるのでは」。恐怖を感じながら見守った。
少し間をおき2発目を放つ音がした。「家の中にいたのにすぐ近くで撃ったような音だった」。しばらくすると、大勢で何かを引きずり出してきた。暗くてはっきりと見えなかったが、トラックに積んで運んでいった。
現場付近では30分ほどたった後も、消防士らが残って警戒を続けた。坂口さんは「(駆除されたのが)人を襲ったクマじゃなければ、まだそれがいるということ」と漏らした。