
16日、イスラエル軍に攻撃されたシリア暫定政府の国防省=ダマスカス(ゲッティ=共同)
【カイロ、ワシントン共同】イスラエル軍は16日、対シリア攻撃を始めた14日以降の3日間で160カ所以上を攻撃したと発表した。地元メディアが報じた。少数派イスラム教ドルーズ派とベドウィン(遊牧民)の武装勢力の衝突が続く南部スワイダ県が中心だが、首都ダマスカスの暫定政府の国防省なども攻撃。ドルーズ派保護を求め暫定政府への圧力を強めた。
一方、暫定政府は16日、ドルーズ派とベドウィンの停戦合意がスワイダ県で成立したと表明。ルビオ米国務長官も各勢力が戦闘停止に向けた措置を取ることで合意したとX(旧ツイッター)に投稿し「全ての当事者が約束を確実に実行することを期待する」と訴えた。
ただ一部のドルーズ派指導者は暫定政府が発表した合意に従わない意向を示し、衝突が終息に向かうかどうかは依然として不透明だ。
シリアの国営通信によると、16日のダマスカスへの攻撃では3人が死亡、30人以上が負傷した。
イスラエル軍はシリアに住むドルーズ派を保護するためとして、シリア攻撃を正当化。衝突鎮圧のため現地に派遣されたシリア暫定政府部隊が撤収しない限り、攻撃を継続すると警告している。シリア人権監視団(英国)によると、衝突の死者は300人を超えた。
ドルーズ派はイスラエルにも居住する。地元メディアによると、占領地ゴラン高原にはイスラエルのドルーズ派が多数集まり、連帯を訴えた。一部の住民がシリア領に無断で入り、イスラエル軍は戻るよう要請した。
トランプ米大統領は6月末、対シリア制裁を終了する大統領令に署名。長年の内戦で荒廃したシリアの復興支援とシリア暫定政府の安定した統治を後押ししている。