
ヒグマに襲われた男性が倒れていた現場周辺=13日午前、福島町(ドローンから)
福島町で新聞配達中の男性がヒグマに襲われて死亡した事故で、北海道立総合研究機構は14日、専門家による現地調査を始めた。現場に残されたヒグマの毛やふん、唾液からDNAサンプルを採取し、男性を襲ったヒグマの習性を調べる狙い。襲撃したヒグマは依然見つかっておらず、松前署や猟友会が捜索を続けた。
現場近くの住宅の玄関先には13日、ヒグマの足跡があり、事故直後には裏手に被害者のものとみられる靴と靴下が残されていた。住人男性は「まるで新聞配達に来るのが分かっていたようだ」と神妙な面持ちで語った。
近くに住む70代女性は「どこに潜んでいるかわからず、昼間も怖くて外を歩けない」と不安げに話した。
ヒグマは民家の玄関先で襲った男性を約100メートル離れたやぶまで引きずっていったとみられる。男性の腹部には、かまれた痕があった。
警察官が駆け付けた後もヒグマは男性のそばにとどまって執着心を見せたことから、署はヒグマが数日中にも現場に戻ってくる可能性が高いとみて、24時間態勢で警戒。署の幹部も現場付近に待機して指揮に当たる。
事故を受け、町内の小中学校は今週中は保護者の送迎による登下校を行う。14日朝、町立福島小に息子を送ってきた40代女性は「いつ子どもが襲われるかと不安」とこぼした。
長浦紀華校長は「表情がこわばった子が多い。前代未聞の事態なので危機管理を徹底する」と話し、屋外での活動は当面の間控えるとした。