
記者会見で陳謝する自民党の鶴保庸介参院予算委員長=9日午前、和歌山市
自民党の鶴保庸介参院予算委員長は8日、和歌山市で開かれた参院選の自民候補者を応援する集会で演説し、「運のいいことに能登で地震があった」と述べた。同日深夜に撤回、陳謝するコメントを出した。9日、和歌山市で記者会見し「例示で出すとしても不適切だった」と述べ、改めて陳謝した。議員辞職や離党は「現状考えていない」と否定した。
8日のコメントでは「被災者への配慮が足りず、言葉足らずだった」としたが、被災者や与野党から非難が続出、辞職を求める声も上がった。会見では2拠点居住促進の道筋を表現する中での発言だったと釈明し「思った発言では全くない。今回は失言ということでお許しいただきたい」とも語った。
被害の大きかった石川県輪島市の仮設住宅に入居する輪島塗職人の高木雅啓さん(65)は「国政を担う者としてもっと現場に足を運び、被災地の声を聞いてほしい」と苦言を呈した。
同市の仮設商店街で飲食店を営業する新出洋さん(48)は「私たちは今も壊れた道路の上を歩いていて、能登は復旧の途上にある」と指摘。鶴保氏の発言について「撤回したところで響かない」とあきれた様子だった。
公明党の斉藤鉄夫代表は自身のX(旧ツイッター)で「被災者の気持ちを軽視するもので、到底容認できない」と非難。立憲民主党の野田佳彦代表は青森市で記者団に「信じられない。失言というレベルではない」と述べた。共産党の田村智子委員長は議員辞職を求めた。
鶴保氏は「国土の均衡をどうしたら維持できるかを考えた。2拠点居住だ。子どもたちが関係人口として和歌山に行ったり来たりができるようにと思って、居住ができるようにしてきた」と説明。総務省が前向きに取り組んだと説明し、これに加える形で「運のいいことに能登で地震があったでしょう」と言及した。
集会には石破茂首相(自民総裁)も出席。首相の到着は鶴保氏の演説終了後だった。