
鹿児島県十島村で観測した震度5強の地震を受け、記者会見する気象庁の担当者=5日午前、気象庁
◆―― 全員無事、避難2陣約20人
鹿児島県十島村の悪石島で5日午前6時29分ごろ、震度5強の地震を観測した。気象庁によると、震源地はトカラ列島近海で、震源の深さは19キロ。地震の規模はマグニチュード(M)5・4。津波はなかった。十島村によると、悪石島にいた全員が無事で、家屋の被害は確認されなかった。気象庁は記者会見し、トカラ列島近海の震度1以上の地震は、6月21日以降、7月5日午前7時までに1300回を超えたと明らかにした。
十島村の久保源一郎村長は5日の記者会見で、悪石島から島外に避難する第2陣は20人以上になるとの見込みを明らかにした。近くの小宝島からも希望者を募り、第2陣と同行してもらうことも検討するとした。
気象庁は、当分の間、震度6弱程度の恐れがあると呼びかけた。揺れの強かった地域では家屋の倒壊や土砂災害の恐れがあり、地震活動や降雨に注意するよう求めている。
鹿児島市にある十島村役場では5日早朝、職員が電話をかけたり、ホワイトボードに情報を書き込んだりして慌ただしく動き回り、情報収集に努めた。島内にいる全員の無事などを確認すると、職員がほっとした表情を見せた。
悪石島からは4日、希望者を対象に島外への避難が始まり、13人がフェリーで鹿児島市へ移動した。
悪石島では5日未明、震度4も相次いだ。3日には震度6弱があった。今回の一連の地震は、過去の付近で起きた地震活動をはるかに上回るペースで揺れが発生している。
◆―― 災害のうわさ「関係なし」
鹿児島県・悪石島で5日早朝、震度5強を観測したのを踏まえ、気象庁は同日午前に記者会見し、トカラ列島近海では活発な地震活動が続いているとして、当分の間、震度6弱程度の揺れへの注意を求めた。7月5日は、交流サイト(SNS)などで以前から「大災害が起こる」などとのうわさが流れていたが、同庁は関連を否定。地震津波監視課の海老田綾貴課長は「全くの偶然。因果関係はない」と述べた。
海老田課長は、日本では普段から多くの地震が起きており「予言を言っていれば、たまたま当たることもある」と指摘。現在の科学技術では地震予知は困難だとして「偶然発生したとしても、科学的根拠はない」と、信頼できる情報に基づき行動することを求めた。「日本ではいつでも地震が起きる。日頃から備えをお願いしたい」と強調した。
気象庁によると、5日の震度5強を観測した地震は、3日の最大震度6弱の地震と発生場所が近い。揺れの強かった地域では、家屋の倒壊や土砂災害の恐れがあり、今後の地震や降雨に注意が必要だ。
付近で震度1以上を観測した地震回数は、6月21日から7月5日午前7時までに1300回を超えた。