
プロジェクト関係者らにより修復した山神社で行われた神事
鉱山町で古くから住民に愛されてきた「山神社」。屋根が腐食し雨漏りもひどくなり、いつ倒壊してもおかしくはない状況に、幌別鉱山山神社修復プロジェクト(荒川昌伸代表)と幌別鉱山町内会(渡邉賢治会長)による再建作業が行われた。約2年間の作業終了をねぎらうお祝いが18日、同所で行われた。
山神社は1906年に幌別鉱山が鉱床採掘を本格的に開始してから間もなく建てられた。その後何度か移設、建て直しされ、現在地に建立しているのは3代目。荒川代表は「少しずつだが、神社の歴史が分かってきた」と話す。
現在、鉱山町にはわずか7世帯が住んでいるのみだが、当時の住民たちにとって山神社は、山を守り安全を祈願する神聖な場所で、祭りなども行われていた。また、ネイチャーセンター・ふぉれすと鉱山があるため、子どもたちのフィールドワークイベントでも活用されており、参拝する人の姿も見られる。
21年末から神社が傾いているという声が聞かれるようになり、本殿の倒壊は遠くないという印象だった。祭壇の壁や天井は崩れ落ち、周囲はカビでひどい状態だった。
同神社には正式な所有者や管理者がいないため、町内会では手が余った。このまま朽ちさせ倒壊させようという声が大勢を占めていた。
幌別鉱山山神社修復プロジェクトは、もう少し神社の歴史や建築上の特徴など、調査記録をした方がいいと考えた市民らにより22年に結成。延命させて価値を見出そうと、同年9月末に同プロジェクトが動き出した。
しかし山神社は、地震などの影響からか屋根部分が後ろに引っ張られているような状況だと判明。同年の冬の積雪で倒壊する可能性が高いと判断し、建物全体をジャッキ12本で持ち上げ、前方へ移動させて修復作業に取り組み、24年6月に完成となった。
神事には同プロジェクトに関わった関係者ら約30人が出席。荒川代表は「この日を見られると思っていなかった。うれしい」と感無量。「朽ち果ててもおかしくなかった神社だが、何とか残すことが出来た。分かってきた歴史を未来につないでいくため、子どもたちにも伝えていきたい」と話した。