
参院本会議で一般用医薬品の販売制度を見直す医薬品医療機器法などの改正法が可決、成立し、一礼する福岡厚労相(右上)=14日午前
一般用医薬品(市販薬)の販売制度を見直す医薬品医療機器法などの改正法が14日、参院本会議で可決、成立した。薬剤師らからオンラインで説明を受けるのを条件に、コンビニエンスストアでも市販薬が購入可能になる。社会問題となっている市販薬の過剰摂取(オーバードーズ)に関する乱用対策では、若年者への購入制限を設ける。
市販薬は薬剤師や登録販売者による販売が義務付けられている。新制度では、パソコンやスマートフォンで服薬の説明を受けるなどすれば、薬局が委託したコンビニで買えるようになる。「乱用の恐れのある医薬品」に指定されているせき止めやかぜ薬などについては、若年者への販売を小容量製品1個に制限する。
コンビニ購入は公布後2年以内、乱用対策は同1年以内に施行する。
ジェネリック医薬品(後発薬)などの供給不足対策として、製薬会社に、出荷停止の製品が発生した際の国への報告を義務化。後発薬の安定供給や、革新的な新薬の実用化に向けた基金も設ける。がんなど医療上の必要性が高い医薬品は、有用性が予測できる場合には承認を迅速化する。
厚生労働委員会で採択された付帯決議は、供給不足が解消されない場合は後発薬の産業構造や薬価の見直しなど必要な措置を講じるよう求めた。乱用防止については、多様な販売形態を踏まえ利便性とのバランスに配慮した規制にすべきだとした。
【一般用医薬品】医療用医薬品と違い、医師の処方箋なしに薬局やドラッグストアで購入できる薬。市販薬とも呼ばれる。医療用として用いられていた有効成分を一般用に転用した薬は「スイッチOTC」と呼ばれる。政府は、症状が軽い場合は市販薬を活用するなど、国民の自発的な健康管理や疾病予防、医療費適正化に向けた「セルフメディケーション」の推進を掲げている。